折からのデパート不況に加えて、大地震に襲われながらも、鶴屋百貨店の新たなチャレンジは地元の人々の支持を得て、順調に実を結びつつある。
その代表例が『鶴屋ラララ大学』だ。これは、従業員が専門性を生かして講師を務める、いわばカルチャースクール。
「例えば、野菜がテーマでしたら、目利きの仕方や食べ方などをご提案させていただくなど、従業員が自分の担当売り場や仕事の専門知識を生かし、参加していただいたお客様に向けて、さまざまな講義を行います。ワインがテーマのものなど人気の講義は定例化していて、多くのお客様にご好評いただいております」
現在、講師は60名弱で、体系だててわかりやすく説明するため月に1〜2回研修を行うなど、勉強に余念がないそうだ。
家族に優しい売環境づくり
さらに、売り場も大きく改装した。本館は婦人服などを女性客が見て回りやすい配置に変更、子ども服や玩具のある6階は、売り場の一部が無料で遊べる『子どもの遊び場』になった。
「お母さまがお買い物の最中に、父子で遊ばれていたり、多くのご家族にご利用いただいております。売り場の面積は減りましたが、売り上げは変わらず伸びています」
幅広い取り組みにより、地元の人々のハートをつかんで離さない鶴屋百貨店だが、手放しで安泰とは言えない状況だ。
’19 年夏には市の中心街に日本最大級のバスターミナルを有する複合施設が誕生予定。またJR九州も’21 年の開業を目指し、駅ビル開発に合わせたまちづくりを発表するなど、熊本にはいま、再開発の波が押し寄せている。
「さまざまな変化があるかと思いますが、それにしっかり対応できるよう取り組んでおります。いい意味で形にとらわれないのが、会社の強みでもありますので、環境が変わっても愛され続ける地域1番店でありたいと思います」