デパートは、1階を化粧品フロアにしていることが多い。玄関口である場所に、華やかで、多くの女性の必需品でもある化粧品を配置すれば、それをフックにほかのフロアへ誘導するなど販売促進が期待できるからだ。
そんな中で、あえて1階をスイーツなどの売り場とし、2階以上に化粧品を配置しているのが東京駅直結の『大丸東京店』。何と1日の平均来場者数は11万人! 旅行客や近隣に勤めるビジネスマンに支持されていた食品をさらに強化するための試みだ。
「掟破りのフロア構成のため、当初は社内でもかなり議論があったのですが、結果的に来客数は急上昇。理由のひとつには、出入り口に化粧品を置かないことで、男性のお客様にも足を運んでもらいやすくなったという点があります」
こう教えてくれたのは、『大丸松坂屋百貨店 大丸東京店』広報の宮川香織さん。東京店の場合は約3割が男性客。多くの人々が利用する東京駅だからこそ、あえてターゲットを絞らず顧客層を広げることで売り上げ増につながった。
また、化粧品売り場を2階以上に配置したことで、意外にも若い女性客の取り込みに成功した。人通りの多い1階とは違い、メイクを試す際に“人の目があまり気にならなくなった”と評判だという。
1階に入っているラグジュアリーブランドなどの売り場と同じゆったりとした天井で、お土産を選ぶことができるのもうれしいポイント。1階のスイーツ売り場と地下の食品売り場は、4機のエスカレーターで行き来しやすくなっている。