暮らしへの負担が増えたのは医療や介護だけではない。ここ数年、毎年のように食料品や生活用品の値上げがあり、家計を守る立場としては頭が痛いところ。大手製紙メーカーが4月にボックスティッシュやトイレットペーパーを1割値上げしたほか、7月にはパンの値上げが待っている。
「中東情勢が不安定になっていて原油価格が上がっていること、人手不足やネット通販の爆発的増加などで物流コストが上がっていることなどが原因ですね。
コスト高が原因の値上げなので、利益増につながらず、社員の賃金アップというわけにはいかないのがつらいところ。賃金が上がらないのに物価が上がる、よくないインフレです」
アベノミクスのもと好景気とされているのに、物価高に泣かされ、うるおっているのは大企業ばかりで、給料は上がらずじまい。どうしてこうなったのか。
「人口減少で今後は内需が見込めないので、企業がもうけをため込み、なかなか賃金に還元しようとしない。企業が賃金を上げたくなるような施策を期待したいところです。
そして何より、少子化を改善するためには、安心して子どもを生み育てたくなるような、社会保障制度の抜本的な改革が必要でしょう」
銀行預金の利息は雀の涙
物価高のほかに、このところ気になるのが、銀行の手数料がじわじわと上がっていること。オンラインサービスなどで振込手数料の無料回数が減らされたり、両替手数料が徴収されるようになったり。口座管理手数料の徴収を検討し始めたメガバンクもある。
「いま、金融業界は大変な状態です。銀行は顧客から預かったお金を企業などに貸して、その金利の差で儲けてきました。しかし、超低金利、さらにはマイナス金利政策の導入で利益が見込めない状況に。
また、世界的に“フィンテック”というお金をめぐる技術革新が進んでいて、それに対応するためにまたお金がかかっています。銀行としては、手数料収入が頼みの綱とばかりに、各種手数料の値上げという事態につながっているわけです」