大学、就職、起業

 ところが、ちょっといい気になって大学に入ってみたら、同学年の“天才”が1万人もいて(笑い)。その1万人のほとんどが現役かせいぜい1浪で入学しています。僕は2浪しているから周りより2年遅れているわけです。

 入学時点で「こんなにひとりだけ遅れていて、まともに就職活動しても勝てないんじゃないか……?」と思いました。

 そもそも就職だって、一流と呼ばれる大学に入って4年間いろいろ頑張ったからといってかならず一流企業に入れるわけではありません。それなのに大学名にこだわってネームバリューにぶら下がっていたって仕方ないな……って。

 どの道、4年間を自分の未来のために使うわけですから、4年やった結果いろいろな理由によって自分の進む道が決められてしまうよりも、シンプルに自分の力で勝負してダメならダメ、行けるなら行けるっていうか、わかりやすい勝負をしたいなと思いました。

公認会計士になろうと決めた理由

 公認会計士試験に合格して監査法人に就職すれば新卒で600万円という高給も、もちろん魅力でした。大卒30代の平均年収は400万円台ですから、600万からのスタートできれば、浪人時代の予備校代や大学の学費、親からの仕送りといった“投資”の回収も早くできます。それで公認会計士試験を受けようと決めたんです。

 大学の入学前には予備校の手続きを終えて勉強を始めていました。大学生活のほぼすべてを試験勉強にあてて、サークル活動どころか合コンも行かなかったですね。

 講義中もゼミ中も、ほぼ試験勉強をしていましたから、周りからは「金川は何のために大学来たんだろう」という目で見られていたんじゃないかな。そうやって必死に勉強した甲斐あって、大学在学中に公認会計士試験に合格。卒業後は日本最大の監査法人、有限責任監査法人トーマツに入社しました。

 ですが、そのトーマツを3年で退職して、コンサルタントとして起業独立しました。同僚や上司、親からは「なんで辞めるの?」「せっかく頑張ってきたのにもったいない」と言われましたが、僕はその生活が「惜しい」とはまったく思いませんでした。公認会計士試験に合格したことも、僕にとってはもう過去のことでしたから。