ガラスのハートを支える運命の人
21歳のとき、人生を変える出会いがあった。
バブルの時代で、はとバスも人手不足。大学生のアルバイト添乗員としてやってきたのが、のちに結婚する荒木拡光さん(49)だ。
拡光さんは熊本出身。長崎出身の荒木さんとは同じ九州人ということで、すぐに意気投合。しかも荒木さんにとって、拡光さんはど真ん中。「好みの顔」だったという。
当時の様子を拡光さんに聞いてみた。
「昔はうぶだったから、彼女に押しに押された感じはあります(笑)。彼女はすごく社交的で、初対面でも誰とでも仲よく話せる。自分にないものを持っていて、本当にうらやましかったです。同性からも異性からも好かれて、かわいがられて頼られる。若いころから世話焼きでしたね。
ただ、外では元気いっぱいだけど、意外と精神的に弱い面はあります。ちょっとした他人の言葉を気にして、ダメ出しをくらったみたいに考え込んだりして」
横で聞いていた荒木さんはすかさず応える。
「ガラスのハートなの。彼はあまりしゃべらないけど、この人がいれば大丈夫だという安心感があります。私はせっかちでパッと決めちゃうタイプだけど、彼はいつも冷静だし。お互いに出ているところと引っ込んでいるところが違うので、いいのかも」
拡光さんは大学を卒業すると地元、熊本の会社に就職。荒木さんも佐世保に戻った。オープンしたばかりのハウステンボスに就職して、テーマ館を案内したりイベントの司会をしたり。結婚式の司会もして、MCの経験を積んだ。
「ドリカムの『ア・イ・シ・テ・ルのサイン』の歌詞をまねして、彼が熊本に帰るときは、5回ブレーキランプを点滅してもらって。アハハハハ。会えばうれしいし、別れるときは寂しいし。会えない時間が愛を育てるので(笑)」