テレビを見ていて「ん? 今、なんかモヤモヤした……」と思うことはないだろうか。“ながら見”してたら流せてしまうが、ふと、その部分だけを引っ張り出してみると、女に対してものすごく無神経な言動だったり、「これはいかがなものか!」と思うことだったり。あるいは「気にするべきはそこじゃないよね〜」とツッコミを入れたくなるような案件も。これを、Jアラートならぬ「オンナアラート」と呼ぶことにする。(コラムニスト・吉田潮)
オンナアラート #23 ドラマ『獣になれない私たち』
ブラック企業のパワハラ上司に悩まされる女性、ちゃっかり要領のいい同僚や、使えない若い男に仕事を押し付けられて疲労困憊(こんぱい)している女性、線路をみると飛び込んでしまいそうな自分が怖い女性、なかなか同棲に踏み切らず、結婚も煮え切らない彼氏に悩む女性、DV父に殴られたことのある女性、マルチ商法に手を出した母親に貯金を使われて会社にまで来られたことがある女性、ビッチな女友達に彼氏を寝取られた挙句に「普通だったよ、ヤってみたけどあれくらいの男ならそのへんにごりょごりょいる」なんて言われちゃう女性……。
これ、全部、ひとりの女性が背負っている。『獣になれない私たち』(日本テレビ系・毎週水曜夜10時)の新垣結衣だ。
なんてドラマだ!
こうしてまとめてみると、ガッキーが不憫(ふびん)でならないし、あまりに救いのない状況だ。まさしくオンナアラート案件でもあると言いたいところだが、NOと言えない・言わないのは誰のせいでもない。自分の責任である。
主語が自分じゃない人生を送ってきたのは、ほかならぬガッキー自身なのだ。自分で自分の人生を放り投げていたことに気がつき、ようやく自分の足で方向転換をした。そんなガッキーにエールを送りたい段階まで物語は進んでいる。
では、誰にオンナアラートを鳴らしたいか。ひとりはガッキーの元彼氏になってしまった田中圭。そして、その母である田中美佐子だ。今回はW田中の役どころに発令したい。