中学受験の塾のように、分野別に授業を分けて、得意・不得意分野を徹底的に攻めるメソッドを取り入れる幼児教室などが現れ、人気教室ともなれば順番待ち。

 幼児教育界の“林修先生”のようなカリスマ教師までもが出現するなど、幼児教室戦争が勃発したのです。いずれにしても、こうした教室は、莫大な情報量から学校の方針や試験内容を分析したうえで授業カリキュラムを組んでいるため、入会すれば誰でも受験準備ができるようになりました。

 当然、こうした裏で面白く思っていないのが、いままでは名前だけ書けば入学できていたような、代々出身の卒業生家庭です。受験準備に惜しみなく財力を投入し、寄付金も多いご家庭(経済力のある芸能人やベンチャー企業の社長、外資系企業など)であれば、卒業生でなくとも財政難の学校は採用してしまうこともあり、卒業生家庭の強力なライバルとなってきたからです。

 正直、多くの私立学校の経営は火の車です。広大な土地を新校舎増築用に購入したにもかかわらず、建築費の捻出ができず放置されている学校、裏庭の植木すら整備できず、近隣から苦情が入っている学校もあります。

 とはいえ、学校側もプロです。創立100年の学校ともなれば、半世紀以上、面接で“よし”とする家庭を選ぶ目は備わっています。

 ただ逆にいえば、“願書と面接”をクリアする“演技力”さえ身につけて、学校側に“よし”と思わせればいいわけです。もちろん、入学してからボロは出てしまうかと思いますが、子どもの一生が決まるとなれば、合格を勝ち取るために多少の演技をするのもときにはアリなのかもしれません。

<著者プロフィール>
いとうゆりこ◎お受験コンシェルジュ&戦略プランナー。自身の経験から美容や健康・芸能・東京に関するマネー情報まで幅広い記事を各媒体で執筆中。いとうゆりこ受験情報公式サイトは、https://itoyuriko.studio.design