東京・品川のモスバーガー大崎店で、レジを担当しているパートの土屋美津子さん。週6日、1日7時間とフルタイムで働くシニア女性だ。
スマホ決済もお手のもの! ママチャリ通勤の77歳
「間違いのないように、お客様のご注文を繰り返して、お釣りもしっかり確認してお渡ししています」
と語る土屋さん。丁寧な応対で動きに迷いはない。モスフードサービス広報・森野美奈子さんが言う。
「カードやスマホ決済の導入などで、レジはどんどん進化しているのですが、そのたびにきちんとアップデートしてくれています」
長らく専業主婦だった土屋さんが働き始めたのは、3人の子育てが終わった50歳を過ぎたころ。
「階段を駆け上がったら足がガクガクして。足から老いるとはこのことだと感じて、もっと外に出ようと思ったのがきっかけでした」(土屋さん、以下同)
当初は五反田東口店の厨房で働いていたが、システムの変更でレジと接客の担当に。ともに働いていた6つ年上の女性と励まし合い、若者の指導を受けながら新しい仕事を覚えた。2年前、閉店に伴って大崎店へ。
夫と2人暮らしの土屋さんの1日は、朝7時にスタート。朝食を終え、夕食の下ごしらえや掃除、洗濯をすませ、10時には家を出る。坂道もふくめ片道30分かけて“ママチャリ”で通う。
「それが足の運動、健康のもと。立ち仕事なので足が棒になったと感じることもありますが、自転車で帰るとほぐれますね」
仕事は11時から14時までレジに立ち、45分の休憩を経て18時まで働く。
「ランチタイム前後の3時間は、お客様がたくさんみえていちばん楽しい。それに一緒に働く若い方たちが“つっちー”と呼んでくれたり、お昼に好物のモスの商品を食べたり。疲れも苦にならないですね(笑)」
勤務を終えたら、すぐに帰宅。夕食をすませ、22時には床に入りニュース番組を見て23時に就寝。
「できるだけ仕事を続けて、この生活を保ちたいです」
と話すが、実は5年ほど前、自覚症状はないまま心臓の病気を患い手術を受け、約2か月、店を休んだ。
「元気になって店にあいさつに行くと、“おめでとう。明日から来られる?”と言われて、本当にうれしかった。短時間の勤務から身体を慣らして、いまに至ります。それからは風邪ひとつひいていません」
土屋さんの場合、働くのは健康のためと楽しさから。収入はすべて3人の孫のために使っている。孫に「ばぁば」と慕われるのが、なによりの幸せとか。
ちなみにモスバーガー大崎店では、アルバイトとパートは、週1日3時間以上からで時給1000円より。
「募集に制限はなく、店に必要な人材であれば年齢は不問です。ただ、高齢の方には難しい仕事。現在、活躍しているシニアは長く勤めている方々です。定年前の方はダブルワークなどで早めに始めるのがおすすめです」(前出・森野さん)
シニアスタッフに心をなごませる利用客も多い。
「ときどき前の店にいらしていたお客様が“会いに来たよ”などと声をかけてくださってホロッときてしまう。真心をこめて接することを自分に言い聞かせて、これからもモス一筋です」
土屋さんはそう話すと、笑顔で仕事に戻っていった。