【4月24日:看取ってください】
書店の店員さんたちがこぞって奮起してくれたおかげもあり、ありがたいことに売れ行きがが好調だったため、早々に第3刷を決めた。
そんな中、今日は文化放送にて『大竹まこと ゴールデンラジオ』へのレンタルさん出演に同行している。同番組はかなり書籍(出版文化)に寄り添ってくれている貴重な番組で、事前に出演者(著者)の作品を読み込んだうえで、愛のあるツッコミやコメントを寄せてくれるため、いちリスナーとしても信頼度が高い。
ふとレンタルさんを見ると、心なしかいつもより表情が硬い。さりげなく話をふってみると、「もともと、将来の夢として、お笑いの道も選択肢にあったから、プロのお笑いをやっている人たちに会うと緊張する」とのこと。それは競ってしまうから? と聞いたところ「そうではなく、リスペクトしているので」と。
緊張していても、そうでなくても、時間になれば本番が来る。それが生放送だ。スタジオに入ってしまえば、トークを切り開いていくよりほかはない(とはいえ、「簡単な受け答え」に終始するが)。
案の定、大竹さんはレンタルさんを気遣いつつ、鋭いツッコミを展開し、この日のパートナーの壇蜜さんはそれらをフォローしつつ話を広げてくれる。そしてレンタルさんは短い言葉ながらも的確に返答し、いま思っていること、感じていることを伝えていく。やはりラジオはいい。
すると終盤、壇蜜さんが突然こう切り出した。
「あの、未来の依頼ってできるんですか?」
全員が「未来?」と息をのんだところで、
「私、看取ってほしいんです。一人だから。大丈夫ですかね」
レンタルさんの返答は「日にちが確定していたら大丈夫です」(亡くなるまでの間の衣食住の提供があれば、とも返事していた)。
これでレンタルさんのサービスは(少なくとも)「壇蜜さんの看取り」が完了するまで続くことになった。壇蜜さん、くれぐれも健康で長生きしてほしい……。一方で、レンタルさんは壇蜜さんに「なんかレンタルさんは長生きしそう」と言われていた。
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というように、なぜかそこにいるだけで、何かしらの出来事が巻き起こってしまうレンタルさん。彼には不思議な魅力があるように思える。
依頼が100個あったら100通りの「必要とする理由」がそこにある。そして「なにもしない」という選択肢だけが、それらの理由とささやかな要望をかなえてくれるのではないだろうか。
このサービスが知れ渡り、「自分だったらどのような依頼をするだろうか」と、みんながふと立ち止まってちょっと考えてみること自体が、社会を見えない部分で揺り動かす力になっていくような気がする。
そんな希望を抱いて、「シーズン2」の制作に向けて動き出そうと準備を始めている。