本当に現場が好き

 是枝裕和監督の映画『ワンダフルライフ』で役者デビュー。日本インディペンデント(自主製作映画)の巨匠・若松孝二監督の晩年の作品の常連だったこともあり、今作のようなインディーズ映画こそがホームだと微笑みながら語る。

「インディペンデント作品で育ててもらい、映画作りを学んできましたから。予算が限られた作品は、無我夢中で監督の作りたい作品をみんなで一丸となって作るしかないんですが、僕はその感覚が染みついているので、そういう現場のほうが落ち着きます。

 予算が潤沢な作品だと、自分の出番まで快適な楽屋で待機させてもらえるのですが、逆にムズムズしちゃう(笑)。

 今回も自分の出番のありなし関係なく、ずっと現場にいさせてもらったのですが、若い役者たちの演技をずっと見ていたかったほど。本当、現場が好きなんだなと思います

 一方で、バラエティー番組から学ぶことも多いようだ。

今まで僕が味わったことのない世界なので、いまだに変な汗が出ます(笑)。でもバラエティーが苦手だから……と断ってしまうのは、わがままでしかないと思っていて。

 作品を取り上げてもらえるのはもちろん、慣れない世界に飛び込んでいくのは、自分でも新しい発見があります。バラエティーの百戦錬磨の方のトークで、自分でも驚くような反応を引き出してくれたり。

 大きなくくりでは同じ芸能界で活動しているけど、ジャンルが違うと必要な能力も違うんだなと、日々、勉強させてもらっています」

 舞台となった『嵐電』は知ってました?

「この映画を撮る前に乗ったことがありました。鉄道はどちらかというと好きなほうで、見るのも好きなんです。

 だから撮影期間中は嵐電に乗って、撮影現場に行くこともありましたし、嵐電を見ながら、音を聴きながら仕事ができたのは幸せな時間でした」

映画『嵐電』 (c)Migrant Birds/OMURO/Kyoto University of Art and Design
映画『嵐電』 (c)Migrant Birds/OMURO/Kyoto University of Art and Design
映画『嵐電』
出演/井浦新、大西礼芳ほか
5月24日からテアトル新宿、京都シネマほか全国で順次公開