繁雑なケータリング業者も……
ペット火葬業の現実
そのようなペット葬儀の現状で、ペットとの別れに心を痛め悲しみに暮れるご遺族を「利益の対象」にしている業者もいるという。
「そもそもペットのケータリング葬自体、固定の火葬場を持たない業者が合間を縫って始めたものです。現行の固定火葬場に対抗するために安く始まった業態であるため、中には固定火葬場での葬儀よりもずいぶん安い値段をネットで宣伝しているが、実際に葬儀している最中に“オプション”という名目で、当初の金額に上乗せした請求をしている企業もあったようです」
そういった業者は安さを売り文句とし、集客をしているようだ。その現状について関氏はこう語る。
「火葬そのものと火葬炉の冷却だけでも2〜3時間はかかります。納骨も本来は、ご家族の心ゆくままに、好きなだけ時間をかけてやってもらうべきものです。
次のご家庭の予約のために、その火葬や拾骨を急ぐというのは、大切な“葬儀”という場にはそぐわないもの。人間の葬儀に比べると値段も安いので、そういう認識を持たない業者もいるようですが、ケータリング葬が流行したてのころは、生焼けのようなご遺体に悲しんだという話もありました。
安いには安いなりの理由が、というのはどの業界でも一緒です。大切な家族との別れの瞬間を演出する業者を、値段の安さで選ぶのは、後悔の原因にもなりかねない」
しかし、ペット火葬・ケータリング火葬という業界に関しては、情報が集めづらいうえに、使う人も限られている。口コミも回りづらいので、いい業者を見抜きづらいというのも事実だ。
「少なくとも霊園を構えているような業者であれば、葬儀業としても老舗である場合が多いので、安心して利用できる可能性は高いと思います。
さらに言えば、人間よりも寿命が短いとされるペットだからこそ、いざというときの業者を調べておくというのも大切なことです。
慌ててネットで探し、検索に引っかかるだけの業者を選ぶのではなく、あらかじめ霊園を訪れてみたり、事前に手順や見積もりをもらって比較検討してみたりするのもいいでしょう」
人間なら遺書を書いたり、自分の葬儀を事前に調べるなどの、本人の中での終活というものがあるが、ペットはそうもいかない。だからこそ、人間と同じく「ペットの終活」が必要ではないだろうか。そうすることで、大きな喪失感ではなく、これまでの思い出を懐かしむような、お別れの瞬間を迎えることができるのかもしれない。
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