特定のファン層を掴むと強い
しかし、三上さんは「成功モデルはごくわずか」だと、現状を俯瞰(ふかん)する。
「企業側は目標の会員数から逆算して、1人あたりにかかる平均的なコストを算出します。本来、1つずつモノやサービスを提供する売り方とは異なり、会費として一定の収益を上げられるのはメリットですが、初めから満足のいく会員数を確保できるわけではないために少なくとも軌道に乗るまでは赤字を覚悟するリスクもあります。
また、定額で使える範囲の商品が好みに合わず、利用者とのミスマッチが起きる場合も考えられる。従来の売り方とは異なる工夫が求められるのも課題です」
まだまだ黎明期といえる段階のサブスク。今後、私たちの生活にどう浸透していくのだろう?
「例えば、コンタクトレンズが月額制で利用できる『メニコン』の『メルスプラン』のように、定期的に買う必要があり、消費者にもメリットがある消耗品系のサービスは今後、増えていく可能性があります。
おそらく牽引しやすいのは、不特定多数を狙った業種ではなく、特定のファン層に特化したような業種。『セブン-イレブン』の手がける弁当宅配サービス『セブンミール』のように、高齢者に便利なサービスも増えていくでしょう。対象となる年齢層も選択肢も今後さらに幅広くなっていくはずですので、サブスクはより私たちの生活に身近な存在になっていくと思います」
さまざまなサービスが日を追うごとに登場している現状もあるが、業種や内容をうまく見極めて使いこなせば、消費者にとっての利便性も得られる。
では、サブスクリプションはどんな層によく利用されているのだろうか? 専門家からは意外な答えが返ってきた。