「晩節を汚された気がします」
奪った命の重みをどう受け止めているのか、加害者としてどう贖罪しようと考えているかを聞くため、容疑者が住む都内のマンションを訪ねた。玄関には管理人がいて、
「ダメダメ。これ見て」
と取材厳禁の貼り紙を指さして、インターホンも押させてくれない状態だった。
飯塚容疑者の知人は、
「飯塚さんはいい人よ。あんな酷い事故を起こしてしまったので、心身ともにおかしくなって杖をつくようになったし、精神的におかしくなったと思うの。だって、あれだけかわいそうなことをしたんだもの」
と庇った。
刑事罰は司法判断を待つほかない。しかし損害賠償する意思を示す道はある。旧工業技術院の院長時代は年収約2000万円、退職金として約3000万~4000万円を受け取ったとされる。
農機大手の『クボタ』に役員として天下りした14年間で副社長まで上り詰めた。クボタは「報酬は教えられません」(担当者)というが、2017年の有価証券報告書によると、取締役7人に対する年間報酬総額は6億2700万円。頭数で割ると9000万円近い高給取りになる。ほかに日本計量振興協会会長なども務めている。
「それでも、元高級官僚とは思えない普通のマンションに住んでいらっしゃるし、車も普通のプリウスだから金銭的には問題ないと思いますよ」
と近所の男性。
だが、冒頭の40代主婦は、こう吐き捨てた。
「金銭的な問題を解決できても、失った命や幸せが戻ってくるわけではないですから。高名な方だったのに晩節を汚された気がします」
飯塚容疑者は瑞宝重光章を受けている。しかし、内閣府賞勲局によれば、
「有罪判決を受けた場合は、罪状によって勲章をとりあげるケースもあります」
とのことだった。