このいきさつを話すと、美知枝さんが、こんなことを言いました。
「そうですか。大学教授というお仕事柄、プライドがお高いのでしょうね。でも、そんな些細なことで怒ってしまうなんて、そこに人間性が見えた気がします。そんなお相手でしたら、結婚しても穏やかな生活は望めませんよね。お見合いはキャンセルになってよかったです」
確かに、“俺が予定をわざわざ変更したのに”という時点で、上から目線です。社会的地位はあるのかもしれませんが、こんな男性とは結婚しなくて正解です。
「約束の時間に電話に出ないとは、なんだ!」
年収3200万円の自営業者、大河内さん(42歳、仮名)が、29歳の亜里沙さん(仮名)に、お見合いのお申し込みをかけてきました。年齢は離れていましたが、お写真が若々しくて素敵。そして、何よりも高収入!
亜里沙さんは、お申し込みを承諾し、お見合いをしました。
お見合いを終えた亜里沙さんが、大河内さんについてこんな感想を持ちました。
「お写真どおりの若々しい方でした。仕立てのいいスーツを着ていて、立ち居振る舞いも洗練されていました。まずはお付き合いしてみようかと思います」
亜里沙さんは、“交際希望”を出しました。大河内さんも“交際希望”だったので、二人の交際が成立しました。
成立すると、男性から女性にファーストコールをするのが通例です。成立したその日がファーストコールだったのですが、亜里沙さんは、翌日だと勘違いをしていました。大河内さんがファーストコールをしたとき、お友達と外でお食事をしていて、電話がかかってきたことにも気づきませんでした。
帰宅して、知らない番号からの着信歴がありましたが、そもそも翌日がファーストコールだと思っていたので、“間違い電話だろう”とスルーをしました。
ところが翌日、かかってくるはずのファーストコールがありません。そこから、4、5日たったころ、亜里沙さんから私に連絡がありました。
「大河内さんからのファーストコールがありません」
それを聞いた私はびっくりして、大河内さんの相談室にご連絡を入れました。すると行き違いだったことがわかったのです。
私は、亜里沙さんに言いました。
「大河内さんは、交際になった当日にファーストコールなさったみたいよ。番号の履歴が残っているでしょう? 今夜、亜里沙さんからその番号にお電話をしてみてね」