買い物にはひとりで行くのがベター
前述したように、現代に生きる私たちは、ときに「決める」ということがストレスになっているのではないでしょうか? 洋服から生き方まで、選択肢が多すぎることは不安のもとです。ストレスを感じ、心がだんだん不安定になります。かつての私と同じで、天井まで並んだ色とりどりのフリースを常に見上げている状態に陥ります。
決断しなければならない場面が多いから、知らない誰かが書いた口コミを信じて、思わずポチッと購入ボタンを押していませんか? 「安いから」ということだけを決め手にしていませんか?
安易に買っては飽きて、また欲しくなっては買い、いらなくなって捨てる、を繰り返していくと、永遠に「本当に満足する決断ができない、不安スパイラル」から抜け出せなくなってしまいます。このスパイラルに陥ると、自分の好みや方向性さえ見失う恐れがあります。
逆に、本当に満足したものを選択できたときには、目指すべき方向性がわかり、自信となるのです。
「誰が何と言ってもこれが最高」と誇れるモノを選べるようになるには、まずは自分のことをよく知ることです。自分にとっては何が快適で、何が不快なのか、ひとりの時間に心の声をしっかり聴いて、それをごまかさないことです。時間をかけて何度も吟味することになりますが、この「よく聴く」「よく見る」というプロセスが大事なのです。
20代のころは、よく友人と一緒に買い物に出かけました。流行(はや)りのモノを次々と手に入れ、盛り上がっていましたが、2人で出かけると、どうしても友人の持ち物がうらやましくなり、同じモノを買ってしまいます。だんだんと自分らしさが何なのかがわからなくなり、「こんなことを繰り返していたら、生き方までブレてしまうな」と思ったことがあります。
それぞれの個性があるから、似合うモノはひとりひとり違います。なので、買い物にはひとりで行くことをオススメします。どんなに流行していても、「私らしくないモノには手を出さない」「質の悪いモノは買わない」「納得いくまで試着する」、といったマイルールを決めると、時間をかけても本当に価値のあるモノを見極め、最高の選択ができるようになっていきます。
流行遅れになることなど、心配しなくてよいのです。いつの時代も自分らしく、質の高いモノを着ている人は、一目置かれます。情報を鵜呑(うの)みにするのではなく、実物を自分の目で見て、生地を触ったり、着心地を確かめることをしなければ、本当によいモノは見極められません。
時間をかけても、自分にとって最上のモノを選んでいくプロセスは、真の「私」で生きていくことにつながります。