『ストレンジャー 上海の芥川龍之介』(NHK総合・BS4K・BS8K 12月30日 月曜夜9時~)は作家・芥川龍之介が、29歳のとき中国・上海に新聞社の特派員として滞在した紀行文が原案のスペシャルドラマ。若き芥川が憧れた異国の地の激動ぶりをほぼ全編、上海で撮影。100年前の当時を再現した舞台裏とは──。
激動の上海に隠された4つのチャレンジ
松田龍平が、およそ100年前、激動の中国・上海を旅する芥川龍之介を演じる異色のドラマ。
「芥川龍之介は、日本文学の代名詞ともいえる文豪。演じられる俳優さんは、限られていると思いました。芥川がひとりの青年として初めて海外に行った目線と、相手のいい面・悪い面の両方をフェアでフラットに観察している視点があるのですが、その部分が松田さんと重なると感じて、オファーさせていただきました」
と、勝田夏子プロデューサー。
芥川は、29歳のときに大阪毎日新聞の特派員として上海を訪れた。子どものころから『西遊記』などに親しみ、憧れの地での体験を綴(つづ)った紀行文『上海游記』が原案。朝ドラ『カーネーション』を手がけた、渡辺あやのオリジナル脚本。
完成作に満足しているという松田は、こうコメント。
「(撮影中は)素敵な経験をさせていただいて。100年前の上海にタイムスリップしたような感じでした。“芥川を演じるぞ”というより、“ひとりの男”として、違う環境で何を思うのかを考えながら演じていました」
制作にあたっては、チャレンジが4つあるそう。
「まずは、海外に向けて発信する作品であるということ。日本での放送前の12月28日、29日には、英語による国際放送、年明けから海外ネット配信もします。2つ目は、超高精細の8Kカメラで撮影し、総合テレビ、BS8K、BS4Kの3波同時放送。
そして、8Kで新しい映像表現を模索するために撮影監督を映画カメラマンの北信康さん(『北の零年』『十三人の刺客』など)にお願いしたのも初の試みです。最後は、ほぼ全編が上海ロケという点です」(勝田P、以下同)