残された妻と3人の子ども

 現場から10キロほど離れた同県津島市には、10数年前に建てられた佐野さん名義の瀟洒(しょうしゃ)な住宅がある。

「佐野さんはがっしりしていて、温厚な人で、町内会の相談役をしていましたね。無骨そうに見えるけど、家の植物の手入れをしたり、買い物をしたり、家事には協力的な方でね。夫婦仲は悪くなかったと思うけどなぁ……」

 と近所の住民。別の近所の住民は、

「ご主人は地元のトヨタ系列の会社に勤務されていました。奥さんは小柄でショートカットで、やはり町内会の書記もやっているしっかり者。

 子どもさんは3人いて、上から長男、長女、次女。すでに長男は成人して、大学を出て就職しています。次女はまだ10代のようですけどね

近所の評判はよかった佐野さん
近所の評判はよかった佐野さん
【写真】血しぶきを洗浄したばかりの殺害現場

 佐野さんの家族は、佐野さんと容疑者の母親の関係を知っていたのだろうか─。

 連日、佐野さん宅を訪れてみたが応答はなく、残された妻や子どもの悲しみや戸惑いが強く感じられた。

 近所に住む佐野さんの兄も訪ねてみたが、

「話すことは何もないから」

 と、多くを語ることはなかった。

容疑者の母親は10年ほど前に派遣会社の社員になっています。そこから佐野さんの職場に派遣されて知り合い、交際が始まったのではないでしょうか」(前出・関係者)

 佐野さんが家族と別れ、林容疑者を息子として受け入れるつもりがあったのかどうかは、今となってはわからない─。

 しかし、もし真剣に考えていたうえでの今回の訪問だとしたら、最悪の結末を迎えたことになる。