「FUSはメスを使わず、頭蓋骨に穴をあけることもない新しい治療法で、治療中には医師と状況を対話確認しながら進めていけるのも大きな利点です。保険適用となったこともあり、この治療法を希望する患者さんは増えています」(仲野先生)
──費用の面からも、諦めていた症状を治療しやすい状況になったのは大きな一歩になりそうだ。最後に、“ふるえ”が気になる人へのちょっとしたセルフケアを聞いた。
「疲れやストレスをためず十分な休養をとり、リラックスすることも大切ですが、私は患者さんに必要以上にふるえを隠さないようにとお話ししています。
ふるえは気にするほどにひどくなりますから、『ふるえが出やすい体質です』と自分から伝えてしまうのも、ひとつの方法ですよ」(仲野先生)
“ふるえ”を軽減するセルフケア
●リラックスする
本態性振戦は、精神的・肉体的ストレスが強くなると交感神経が活性化し、ふるえが強まることがわかっています。自分なりの方法でストレス解消し、心身ともにリラックスしましょう。
●休養をとる
精神的な緊張や肉体的な疲労は、ふるえの原因のひとつです。バランスのよい食事をとり、ゆっくりと休むことも大切です。
●開き直る
本態性振戦のふるえは、気づかれないようふるまおうとしたり、気にすれば気にするほどひどくなる傾向に。「私、手がふるえやすいんです」とカミングアウトし、開き直ることが有効です。
(取材・文/熊谷あづさ)
お話を伺ったのは…… 仲野雅幸先生
新百合ヶ丘総合病院 脳神経外科(機能外科部門)部長。脳神経疾患研究所附属 南東北福島病院院長代行などを経て2019年より脳や脊髄、末梢神経に関する疾患を扱う脳神経外科(機能外科部門)の現職に。日本脳神経外科学会専門医・指導医。
新百合ヶ丘総合病院 脳神経外科(機能外科部門)部長。脳神経疾患研究所附属 南東北福島病院院長代行などを経て2019年より脳や脊髄、末梢神経に関する疾患を扱う脳神経外科(機能外科部門)の現職に。日本脳神経外科学会専門医・指導医。