ただし、転売がなくなるかは不透明だ。筆者は13日13時00分から10分間で、メルカリの「救急/衛生用品」カテゴリーに、マスクとおぼしき商品が3点出品されたのを確認した。いずれもマスクの写真を掲載したうえで、商品名は「7枚入り」「口に当てるもの」などとぼかしている。出品者の1人はプロフィールに「マスク売ります」とまで入れていた。

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【写真】手芸雑誌雑誌が何度も試作してできた、立体マスクのレシピ

 これらの商品は出品された途端、「マスク禁止でしょ」「商品名をきちんと書いてください」と怒涛のコメントが寄せられた。出品者がそのコメントを次々に削除していくケースもあれば、「購入します」とのコメントが入って数分後に、出品者が商品情報を削除するケースもあった。

マスクめぐる攻防の収束も見通し立たず

 転売が後を絶たない一方で、マスクの生産状況も追いついていない。中国では自動車メーカーなど異業種がマスク生産を始め、1日に1億枚以上生産できるようになった。だが、自国での需要もカバーできていないため、しばらくは日本への輸出は見込めない。日本も同じように、シャープなどがマスクの生産を始める。

 大手不動産企業に勤める男性(30代)は、「接客するときは絶対マスクをつけないといけないが、備蓄も残り少なくて、1枚のマスクを3日続けて使っている」と明かす。ウイルスが世界中に広がり、マスクに抵抗感が強い欧米の国々でも需要が増大する中、マスクをめぐる攻防も収束の見通しが立たない。


浦上 早苗(うらがみ さなえ)◎経済ジャーナリスト 早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育など。中国メディアとの関わりが多いので、複数媒体で経済ニュースを翻訳、執筆。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。Twitter: @sanadi37