老後を安心して送る2つのポイント

1.住まいの確保を!

*住宅ローンは計画的に終わらせる
 支出で大きな割合を占める住宅ローン。収入が見込めなくなる退職後までには、払い終えているのが理想。積極的な繰り上げ返済や、退職金での一括返済をして、身軽な状態で老後を迎えたい。どちらも難しい場合、同居の子どもから家賃を徴収したり、空き部屋をシェアハウスにして収入源にするなどの対策を考えて。ローンが完済していれば、都心から郊外へと住み替えることで売却益を得たり、老後資金に不安があれば、自宅に住みながら今から自宅を担保にして、金融機関からお金を借り入れる“リバースモーゲージ”を利用する手も。

*賃貸住宅の人は、住居費を抑える工夫を
 賃貸の場合、定年退職後にも同じ賃料を払う生活は、大幅に老後資金が減っていくので避けたい。貯金があれば現金で家を買う、独立している子どもがいれば同居をする、親が持ち家であれば相続や贈与という形で譲り受ける、賃料の安い公営住宅を検討するなど、退職後の住まいをどうするか具体的に考えておき、できる限り住居費は抑えるのが得策。

2.手堅い投資を!

*貯金は銀行に眠らせておかない
 老後資金に貯めた貯金は、投資にまわして運用益を狙いたい。初心者であれば“株式投資信託”がおすすめで、中でも株式相場全体の動きを示す指数と同じ値動きをする“インデックスファンド”がいい。値動きがゆるやかでリスクが小さく、長期的に見れば成績が安定しているからだ。始める際には、iDeCoやつみたてNISAの利用を。運用益が出ても税金がかからず、iDeCoなら積立金は所得控除にもなり、税金を抑えることもできる。一時的に運用益が出ないことがあっても、5年10年と長期運用すれば、年利2~5%は手堅く狙うことができるのだ。

◎引き出し自由で、儲けは非課税『つみたてNISA』
 投資で利益が出た場合は20%の税金がかかるが、つみたてNISAなら最長20年間、儲けに税金がかからない。いつでも引き出すことができるので初心者におすすめ。積立額の所得控除はなし。

◎年金づくりの強い味方『iDeCo』
 運用益は無税で、積立金も所得控除ができるので税金を安く抑えることができる。例えば年収500万円の人が月2万3000円積み立てたら、所得税と住民税で約5万5000円の負担が減る。原則60歳まで受け取り不可。

 最後に「不安から行動すると、失敗したり詐欺にあうリスクが高くなります。焦ったり不安になったりせず、専門家に相談し、一緒にプランを立てれば大丈夫です」と、中村さん。まずは深呼吸してから、老後の資金準備を始めましょう!

(取材・文/樫野早苗)


【PROFILE】
中村芳子さん ◎ファイナンシャルプランナー(FP)、アルファアンドアソシエイツ代表。日本の女性FP第1号。著書多数。老後のマネー対策がつまった近著『50代のいま、やっておくべきお金のこと[新版]』(ダイヤモンド社)が話題。

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