二世が芸能界に入ると、最初の数年は猶予期間
続いては、親の威光があるけど成功派の二世芸能人を解説。
徳光さんが特に感慨深い存在として挙げた落合福嗣。
「タイムマシンに乗って『福嗣君はすごく真人間になるんだぞ』って昔の自分に教えてあげたいですよ。子どものころは家にロケが来たらカメラの前でおしっこしていたような子が、今はすごく謙虚になった。自分の力で人気声優になりましたもんね」
もう1人、注目株として目を引くのは趣里の存在だ。
「二世が芸能界に入ると、最初の数年は猶予期間として与えられると思うんです。客観的に自分を見て、どうすれば自分をいちばん生かせられるのか。僕の場合、正統派で行っても反感を買いそうだし、ならばクズキャラになったほうがヒールとして注目度が集まるんじゃないかと思いました。
趣里ちゃんは、言い方は悪いけど最初はどっちつかずの俳優だったじゃないですか。でも、海外に演技を学びに行って、映画や舞台で演技派としてひと皮むけましたよね。育ちのよさばかり出ちゃうと汚れ役ができなくなるんですよ」(徳光)
●二世芸能人って? その1
「芸がある人は『二世』の肩書を必要としません」徳光正行さん
「青果店の息子が野菜を売る父に憧れて商売を継いだら、誰が否定する? って話ですよ」
親の威光を笠に芸能界入りした二世が叩かれるのは世の常だが、徳光さんはその風潮に異を唱える。しかし、彼は二世という存在自体が芸能界で危ういとも自覚している。
「今のコロナ禍において、二世しか売りがない人とおネエ系タレントの出る番組が減ってきている。このふたつの存在って、平穏なときしかメディアに出られない気がするんですよ。言うなれば、どちらも面白がられる側。『あんな人たちもいるんだね~』と、心のゆとりがあるときだからこそ許されるんです」
自戒の念を込め、徳光さんはこう言う。「芸がある人は『二世』の肩書を必要としません。タレントって才能って意味ですからね」