公正証書遺言を作成しておけば安心
相続問題対策で効果があるのは夫の遺言書だ。遺言書には公正証書遺言と自筆証書遺言の2種類がある。
「おすすめは公正証書遺言です。公証人役場で公正証書遺言を作成してもらいます。書類をそろえたり、費用はかかりますがプロが作成するので法的に有効な遺言となります。夫の死後、すぐに相続の手続きができます」
一方、自筆証書遺言はいつでも自由に手軽に書けるメリットはあるが、
「遺言の法律やルールを無視すればすべて無効になります。さらに誰かが隠す、発見されないことや、文章がわかりにくく、内容が不明確だとトラブルになりやすい。自筆証書遺言を残すなら、まずは頭を整理して内容をじっくり考えてから書くことが大切です」
遺言は認知症対策としても有効だ。相続人が認知症だと遺産分割協議ができないことがあるが、遺言があれば手続きがスムーズにできる。
死後の手続きを確認しておく
夫の葬式の出し方にも注意が必要だ。
「葬式を簡素化したら、菩提寺の住職に読経を断わられたり、お墓に入れてもらえなかったというトラブルもあります。事前の確認が必要です」
葬式が終わったらひと息つく間もなく手続き開始。
「健康保険証の返却、年金受給権者死亡届の提出の期限は死後14日以内です。年金は届け出をしないと勝手には止まりません。死後の分は返却することになります」
死亡保険金はなるべく早く保険会社に連絡を。
「うっかりしているともらいそびれてしまうことがあるので、確実にもらうためにも速やかに手続きをしてください」
公共料金の名義変更と解約。免許証、パスポートの返却は期限が決まっていないので忘れることも多い。後回しにすると、よけいな手続きも増えるため、速やかに。
自筆証書遺言の開封も注意したい。
「自筆証書遺言の場合、開ける前に家庭裁判所に提出し、検認してもらいます。検印がないと公の相続書類として認めてもらえないので相続の手続きが進められません」
ただし自筆証書遺言でも法務局に預けているものと公正証書遺言は検認不要。