晴れ舞台の『紅白』でギターを破壊!
テレビ界最大の生放送イベントで、歌手にとっては晴れの大舞台である『紅白』。しかし、それゆえにテンションが上がりすぎるのか、ハプニングが起きやすく“出禁”につながることも珍しくない。
1985年に初出場で白組のトップバッターを務めた吉川晃司は、NHKに相談することなく過激なパフォーマンスを敢行。あえて真紅の衣装を着て、シャンパンを口に含んでは吐き出しながら、熱唱したあと、ギターに火をつけ破壊した。
しかも、この混乱のせいで、次の出番だった河合奈保子は歌いだしが遅れるわ、その次のシブがき隊では布川敏和がステージに残った酒で転倒するわ、さんざんなことに。吉川は後年「完全に若気の至りで反省している」と語ったが、以後10数年にわたってNHKには出られなかった。
そんな吉川以上に物議をかもしたのが、1990年の長渕剛。ベルリンの壁からの中継で登場すると、いきなり、
「こちらに来ましたら、現場仕切ってるの、みんなドイツ人でしてね。ともに戦ってくれる日本人なんて、ひとりもいませんよ。恥ずかしい話ですけど、今の日本人、タコばっかりですわ」
と、暴言を吐いた。しかも、16分間にわたって3曲を披露。途中、水を飲んだり、ギターのチューニングをしたりで30秒も演奏を中断するなど、やりたい放題だった。当然、その後の進行にも大きく響き、なかには持ち時間を半分以下に縮小させられた歌手も。NHKはもとより、歌手仲間からもひんしゅくを買うこととなった。
のちに長渕は、こう振り返っている。
「NHKから勲章でももらえるのかな、と思ってたら、出入り禁止って言われちゃった(笑)」
再び『紅白』の舞台に立つのは13年後のこと。そのときはおとなしかった。
また、2006年にはDJ OZMAのきわどいパフォーマンスが問題になった。ハダカに見えるボディスーツを着用していたため、勘違いする視聴者が続出。面白がる声もあったが、苦情も殺到し、年明けにはNHKの会長が、
「現場で使いにくい状況だと思う」
と、定例会見の場でコメントする事態に発展した。ちなみに、DJ OZMAと同一人物(当時は知人という設定)である氣志團の綾小路翔は「NHKにも実は頭にきてたけど、なんかもういいかな~って気もしてきちゃったし。定例会見のことも聞いたけど、ちょっと残念だったね」という皮肉をブログに綴った。
これにより、NHKとは溝が深まり、今も出禁状態だ。