本当の自分は違うと思っていた

品川 本当にあのころは、松本さんへの憧れや天狗になっていたり、仕事で疲れてたりが重なって、態度が悪くなってしまったんですよね。

 僕、もともとは陽気なやつだったんですよ。中学時代は雪の日にブリーフ1枚で外に出てクラスのやつを笑わせてたし、やんちゃしてた時期もケンカは強くなかったから、仲間を笑わせるポジションでした。でも、芸人になりたてのころは“自分は昔からトガってた”と思い込んでいたんです。

原田 そんな経緯があったんだね。今は、その魔法はとけてますか?

品川 そうですね。今のほうが素に近いかも。でも“最近品川は丸くなった”とか言われるんですけど、気性が荒い部分は残っているので、それも違うかな、と。

原田 違和感があるんだ。

品川 変わったとしたら、映画を撮った経験が大きいです。映画は俳優さんがクランクインする衣装を決めたり、打ち合わせをしたり、何か月も前から準備する。一致団結して俳優さんをカッコよく、面白く撮りたいと、愛情を注ぐじゃないですか。

原田 そうだね。

原田龍二(左)に真剣な表情で語りかける品川祐(右)
原田龍二(左)に真剣な表情で語りかける品川祐(右)
【写真】普段は見られない真剣な表情の品川祐(品川庄司)

品川 テレビ局の人たちも、僕らにそれをしてくれているんだ、と気がついたんですよね。収録前に何回も打ち合わせしたり、街ブラのロケでも事前に店に許諾をとったり……誰も僕をつまらない男に撮りたい、なんて人はいない。そんなスタッフさんたちに対して、すごく失礼なことをしてたんですよね。

 仮に僕が原田さんと映画を作ることになって、初めての打ち合わせで原田さんがヘッドホンして下を向いてたら、ブチギレると思うんですよ。

原田 そうだよねえ。

品川 裏方の仕事をするほど、リスペクトの気持ちが強くなりました。それに、テレビも映画もチームワークだと強く感じるようになりました。この前の番組も、結局はチームワークなんですよね。

原田 と、いうと?

品川 ディスり合ってバトルするけど、相手が打たなければ自分も打ち返せない。やりとりがないと成立しないから、フリースタイルバトルもチームワークなんですよね。

原田 品川くんは、バトルもチームワークだととらえられる位置にいるんだ。俺はそこまで広げて考えられなかったけど、まさしくそうだね。