お金よりも大切なものに気づいた
原田 今日、絶対にお聞きしようと思っていたことがあるんです。三崎さんにとって“お金”って何ですか?
三崎 うーん、なんなんでしょうね……。その答えは、自分でも出せていないかもしれないです。
原田 不思議ですよね。僕は、1日のうちでお金について考える時間がほとんどないんですよ。それよりも「今日は何食べよう」とか「夕飯はあれが食べたい」とか……食べ物のことばっかり考えてるわけじゃないけど(笑)。僕にとってのお金と、ビジネスのプロの三崎さんにとってのお金は絶対に違いますよね。
三崎 そうですね。僕自身、お金持ちになりたいと思ってお金を追っていたけど、ある意味で、お金に溺れてしまった。僕にとってお金は味方にも敵にもなりうる存在かも。
原田 お金は生き物なんですね。三崎さんはお金で買える娯楽は、ほとんど手に入れてきたと思うんですけど、今は何をしているときがいちばん楽しいですか?
三崎 楽しみというか、今は自分の運命と戦うのが人生のテーマになっていますね。自分の身に起きた出来事を本やYouTubeで発信して、運命に抗うのが楽しいです。
逮捕されて、SNSではすさまじい誹謗中傷を受けましたし、社会的な信用もなくなって実生活の不便さは今も感じています。たくさんのものを失ったのでいまだに「あの事件があってよかった」とまでは思えてないんです。なので、いつか「あの事件があってよかった」と心から言えるようになりたいです。
原田 受け入れるのは時間がかかりますよね……。三崎さんの、逆境を乗り越えるパワーの源は何なんでしょう?
三崎 僕の場合は“時間”ですね。お金を得てから「お金を出しても若いころの時間は買えない。お金にはたいした価値がないんだ」と気づいたんです。失った時間のことを後悔するくらいなら一日一日を一生懸命生きようと。とにかく毎日、後悔しないように生きています。
原田 それはいちばん大事なことかもしれないですね。
三崎 過去や未来よりも“現在”を見るようになってから、なんでも挑戦するようになりました。今の僕は、失うものは何もないのでチャレンジもしやすいんです。
原田 もしかして、今の三崎さんには怖いものもないんじゃないですか?
三崎 そうですね。ないかもしれないです(笑)。
原田 やっぱり! 僕もスキャンダルが怖いと思っていた時期があったけど、自分で不祥事を起こしてからは、怖いものがなくなりましたから。
三崎 アハハ!
【本日の、反省】世間のイメージや先入観はいいかげんなものですよね。実際にお会いした三崎さんは、自分に課せられた運命を乗り越えられる、とてもパワフルな人でした。今は自分の人生や過去と向き合って、彼だけが歩める道をしっかり歩んでいるように思います。多くの人がうらやむ成功を手にして、どん底も味わっても彼はまだ31歳。これからどんな人生を進むのか、とても興味があるなあ。「あの事件があってよかった」と言える日がきっと来ると思います!
《取材・文/大貫未来(清談社)》