昨年のニュースは大半がコロナ関連だったが、その間に差し込まれる著名人のスキャンダルも例年より目立ったものが多かった。
不倫はダメだけど「不倫ドラマ」は人気
昨年の12月24日に『女子SPA!』が発表した「今年(2020年)イメージダウンした男性ランキング」。3位は、女優・唐田えりかとの不倫が報道された東出昌大がランクインし、続く2位にはひき逃げ容疑で逮捕された伊藤健太郎。1位に選ばれたのは、“多目的トイレ不倫”で世間を賑わせたアンジャッシュの渡部建であった。
著名人による不倫報道が頻発した2020年。東出や渡部だけではなく、Zeebraや近藤真彦、宮崎謙介といったあらゆるジャンルで活躍する著名人たちが女性問題でイメージを下げている。昔は芸能人の不倫がニュースになっても“芸の肥やし”として肯定されるケースもあったが、近年の猛烈なバッシングの背景には、現代人の倫理観が強まっていることが考えられる。
株式会社AlbaLinkが10月に発表した「離婚に関する意識調査アンケート」によると、全国の既婚者男女484人のうち、73.8%が「不倫をされたら離婚したい」と回答。子供や経済状況などの理由から「実際に離婚する」と答えたのは、うち13.4%に留まったが、本音では結婚相手の不倫が発覚したら即離婚したいと思っている人が多いことがわかる。「不倫=心の殺人」と言われるほど、倫理観や道徳心から不倫に対し嫌悪感を抱いている人が多いということだろう。
一方で、昨年は『知らなくていいコト』(日本テレビ系)や『ギルティ ~この恋は罪ですか?~』(日本テレビ系)、『恋する母たち』(TBS系)など、不倫を題材にしたドラマが盛り上がりを見せていた。
『ギルティ』では新川優愛演じる妻が“不倫される側”の役どころで、“不倫した側”である小池徹平演じる夫のクズっぷりが話題になったが、ほかの2作品に至っては“不倫する”登場人物を思わず応援したくなるような演出もあり、SNS上ではその役の振る舞いを肯定する声も見受けられた。
現実世界では不倫へのバッシングが大きい一方で、ドラマや映画などでは不倫が肯定的に捉えられている。不倫を否定的に思いつつも、ドラマでは人気を集める。この矛盾について、恋愛コラムニスト兼恋愛カウンセラーの堺屋大地氏はこう話す。
「不倫バッシングが激しさを増していることと、不倫ドラマの盛り上がりは意外にも矛盾していないと思います。なぜなら、先の調査で73.8%が“不倫をされたら離婚したい”と回答したということは、逆にいえば、およそ100人中26人が“不倫されても離婚しない”容認派とも言える。
テレビ視聴率が10%獲得できればヒットしたと言われる時代、その26%が不倫ドラマを見てくれて、何割かの人がSNSにドラマの感想をツイートし、さらに視聴者を集める。こうすることで充分にヒットドラマを打ち出すことは可能で、その手法をうまく使ったドラマ作りがされているのだと思います」