愛する妻に先立たれ失意の日々を送る神田冬樹(草刈正雄)。ふと足を運んだペットショップで出会ったのは、売れ残りのブサ猫・ふくまる(声・神木隆之介)。愛すること、愛されることを諦めていた1人&1匹の共同生活は、くすぶった互いの心に温かな灯をともしてゆく……。
“これ、俺だ”と思った
ドラマ『おじさまと猫』で世界的ピアニスト・神田を演じている草刈は、
「原作マンガを見せていただいたんですが、表紙を見たときに“あ、これ、俺だ”と(笑)。俺がやらなきゃと思いましたね(笑)。そして、おじさまと猫の関わり方が胸に引っかかるものがありまして。直感的に“これ、面白くなるな”と思いましたね。それに猫ってついているとだいたい人気が出ると、僕は確信してますので(笑)」
ドラマに登場するふくまるは実物の猫ではなく、人形。ビジュアル公開時、ネットはざわついたが……。
「不安もあったんですよ、確かにね。どういうふうになるんだろう? って。でも、動かしてくださる方が本当にプロフェッショナルで。素晴らしいんですよ。本当に心がある猫ちゃんになっていて。これはもう驚きですよね。感動しました。だから自然に、僕も涙が出てきたり、笑顔になったり。俳優さん同士でやってるのとまったく変わらず、ふくまると芝居ができました。
今、厳しい世の中ですけど、この作品は本当に心が温まる。人間と猫ちゃんのラブストーリー。それをほっこりと楽しんでいただけたらと思っています」
演じている神田とは共通点が多く、面白いほどよく似ている、と微笑む。
「考え方がマイナスなところとか、ちょっと変なところとかね(笑)。世間と少しズレてるところがあるんですよ」
具体的には、
「僕は犬を飼っているんですが、ちょっと何かあるとすぐに“大丈夫か? 死ぬんじゃないか?”って騒ぐ。まるで神田さんです(笑)。あと僕の携帯電話は1年に10回くらいしか鳴らないんですけど、家族からかかってくるとドキッとする。絶対、悪い話だろうなって。だから家族には、まず“アハハハ”と笑ってから用事を言って、と頼んでいます。気持ち悪いほど心配性ですね(笑)」
“日本一ダンディー”とも言われる草刈の意外な一面。
「日本一ダンディー? アハハハ。ダンディーはうれしいですけどね(笑)、僕自身は真逆な人間でね。無精者なの。ウチの中ではいつもパジャマだし、夏はパンツ1丁でうろうろするし。冬はしかたないから丹前みたいなのを着てるけど。
そして、1度自分のイスに座ったら、ずーっと動かないしね。部屋の中で歩くのは冷蔵庫まで。欲しいものを取ったらまた座る。そういう人なんですよ。だからダンディーとは真逆なんですけどね(笑)。ダンディーなのは仕事の絵ヅラだけ。本性は大ウソつきです(笑)。アハハハハ」