手荒れ、あかぎれで
感染リスクが高まる
コロナ禍の今、7割の女性が手荒れに悩んでいるという。荒れるばかりか、あかぎれを起こすと、そこからコロナに感染するのではと心配になったりも……。
「コロナウイルスは粘膜から感染するので、手の傷口から感染することはありません。ただし、手荒れやあかぎれによる痛みで、手洗いやアルコール消毒がおろそかになり、手指にウイルスが残って感染する可能性はあります」とはすずきこどもクリニック院長の鈴木幹啓先生。コロナ感染が広がってから、手荒れやあかぎれを訴えて受診する人が増えたという。
「加齢や体質による皮膚の水分保持機能の低下、乾燥、金属や化粧品によるかぶれなど、手荒れの原因はさまざまですが、いま手荒れが増えているのは、手洗い回数の増加とアルコールによる刺激が原因。手の清潔を保つためには、しっかり保湿し、肌を健康な状態に戻し、保つことが重要です」(鈴木先生、以下同)
日ごろからハンドクリームを使っている人も多いだろう。でも、塗る回数や量が足りていないことも。
「チューブタイプのハンドクリームなら人さし指の第一関節2本分が適量です。塗ったあとティッシュがくっつくぐらいがベスト。このくらい塗らないと保湿効果は期待できません」
せっかく塗るなら、保湿効果の高いものを選びたい。どんな保湿剤がおすすめ?
「手荒れには保湿効果の高いヘパリン類似物質が入ったものが、あかぎれにはステロイド剤がおすすめです。ワセリンも手軽に入手できていいでしょう。保湿のほか、傷口を保護してくれるのであかぎれにもおすすめです。でも、いちばん大事なのは保湿の継続。お使いのハンドクリームをまめに塗れば十分効果はあります」
保湿が大事とはいえ、塗るとベタベタして家事や仕事がやりづらい。
「保湿剤にはローションタイプ、泡タイプ、さらさらしたクリームタイプ、軟膏などいろんな質感のものがあります。家事のときはサラッとしたローションタイプ、寝る前は軟膏でしっかり保湿……というように、TPOで使い分けるといいでしょう」
保湿を習慣にすれば、手洗い回数が多い今でも手肌の健康が維持でき、手洗い・アルコール消毒による感染予防も無理なく行うことができる。家族みんなで手洗い後の保湿を続けて、コロナから命を守ろう。
鷲尾有司先生 兵庫県西宮市・わしお耳鼻咽喉科院長。日本アレルギー学会認定専門医、日本耳鼻咽喉科学会認定専門医。最新医療技術を患者と共有し、できるだけ薬に依存しない治療を目指す。washio-jibika.com
鈴木幹啓先生 和歌山県新宮市・すずきこどもクリニック院長。サービス付き高齢者住宅を運営し、乳児から高齢者まで診療。著書に『日本一忙しい小児科医が教える 病気にならない子育て術』がある。suzukikodomo.jp