急変・悪化に備え、経過観察も肝心
気になるのは、自宅療養中の救急車を呼ぶタイミングだ。感染者の2割が発症後7日~10日くらいで肺炎が重くなるとされている。血管内に血栓ができ、心筋梗塞や脳梗塞などを併発する症状も報告されているため、経過観察も欠かせない。
「経過記録表を必ずつけること。体温はもちろん“いつ、どんな症状が出ていたのか”を記録して正確な情報を残しましょう。これは救急搬送や入院となったときに、医療従事者が状況をすぐに把握できるようにあると便利です」
記入は朝、昼、夜の1日3回。食事をどれくらいとれたかも、重要な記録になるので忘れずに。
特に『ショック状態』は絶対に見逃さないように。これは血圧が低下し、血液が全身に行き渡らなくなるため、生命の危機に瀕する。次の5つのいずれか1つでも見られたらすぐに救急車を呼ぶ。
(1)顔色が青白い
(2)呼吸が浅くて速い
(3)脈拍が弱くて速い
(4)皮膚が冷たく湿っている
(5)ぐったりしている。
「こうした状況を見逃さないためにも注意深くフォローすることが大切です」
救急車を呼ぶときは、救急隊員に落ち着いてはっきりと簡潔に状況を伝えたい。
「自宅療養中に急変・悪化した場合、どのような対応をとったらいいのか。自治体で取り決めがありますから、事前にその流れも確認しておきましょう。重症化リスクのある人は、軽微な熱や咳でも早めにかかりつけ医師の指示を仰ぐことが肝心です」
収束の見えない新型コロナの猛威。いざというときでも落ち着いて行動できるよう、事前の準備を心がけたい。
宅配を利用するとき
■基本的には「置き配」
買い物に行くのが厳しいときはネットスーパーやインターネットサイトを利用するのも手。非対面での受け取りが可能な“置き配”を利用して、周囲への感染防止を心がけよう。
(1)玄関先に「ここに置いといてください」などの張り紙をしておく。地面に置かれることに抵抗があれば、新聞紙や段ボールなどをあらかじめ敷いておく。
(2)宅配便を受け取ったら、除菌スプレーをかけて消毒してから家の中に持ち込む。不安があり、急ぎでなければ2~3日は玄関に放置して、細菌やウイルスを不活性化させる。
■どうしても受け取りが必要なとき
宅配業者らと対面するときは必ずマスクをして対応すること。署名が必要な場合は自分のペンを使い感染のリスクを減らす。本人確認用の書類や代引きのお金もおつりがないように用意しておくこと。
お話を聞いたのは
岡田晴恵さん(感染症の専門家)
白鴎大学教育学部教授。医学博士。専門は感染免疫学、公衆衛生学。主な著書に『どうする!?新型コロナ』(岩波書店)などがある。また、テレビ出演や講演も多数
参考にしたのはこの本!
『新型コロナ自宅療養完全マニュアル』1320円(税込み)
新型コロナの基礎知識から、感染して自宅療養をせざるをえない場合の対応や心構えなど感染相策を完全網羅。実業之日本社刊