皮膚の色には、明確な性差があるわけではない。肌の色が白く透明感があることが女性の性的魅力になる。
エジプトの南部では、人々の肌はかなり色が濃いが、個人的変異が大きい。私が現地で調査中に多くの人から聞いたところによると、男性は肌の色が濃いほうが強そうでよいが、女性はやはり、肌の色が薄いほうが魅力があると感じられるとのことだ。そのような価値判断による性的選択が、変異が大きいことの原因かもしれない。
トム・クルーズとニコール・キッドマンの鼻を交換すると
顔の魅力は、さまざまな要素から醸し出されている。男女とも、顔の部品のバランスがとれていることは重要だが、性差がそれぞれの魅力と感じられていることも多い。
たとえば、部品の造作が大きく、ゴツゴツしていたり、鼻や顎がしっかりしていて、眉が濃く、髭がある、という特徴は女性から見て男性の魅力となるし、鼻や顎が華奢で、眉は薄く、髭はほとんどない、という特徴は逆に男性を惹きつける女性の魅力となる。
このような違いは、成長の進展程度の違いと理解されている。つまり、女性は子どもの状態をかなり維持して成人するが、男性はさらに過剰に成熟した、あるいは老化した状態になるというわけである。
たとえば、かつて夫婦だったトム・クルーズとニコール・キッドマンの鼻を交換するとどうなるか、想像してみるとよい。
トム・クルーズの鼻は、鼻骨と上顎骨前頭突起が高く幅広く隆起して、横から見た稜線は凸に湾曲し、男性的なパワーと意志を表している。鼻翼は広くはないが、鼻尖がやや広く垂れ下がり、成熟した状態に該当し、判断力と知恵を示しているように見える。
かたやニコール・キッドマンの鼻は、高く隆起しているが、幅が狭く、稜線も鋭く、横から見て凹に湾曲しているので、意志や自己主張は控えめな印象になる。鼻翼は狭く上品で、鼻尖は上を向き、子どもの状態を示しているので、いかにも女性的といえる。図1-2を見れば容易に想像できるように、二人の鼻を交換したら、どちらも即座にスターの座から転落するだろう。なお、ジョージ・クルーニーの鼻は男性としては控えめで、男女どちらでもよさそうだ。