今、民放各局の中で“激辛”を扱う番組が増えている。

 レギュラー番組では、あばれる君やワタリ119とゲストが激辛料理の完食に挑む『有吉ゼミ』(日本テレビ系)の「チャレンジグルメ」、片瀬那奈、瑛茉ジャスミンらが激辛料理をハシゴする『ウワサのお客さま』(フジテレビ系)の「ウワサ激辛部 道場破り」。

 そのほか、『くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館』(テレビ朝日系)、『華丸大吉&千鳥のテッパンいただきます!』(関西テレビ・フジテレビ系)、『世界くらべてみたら』(TBS系)、『お願い!ランキング』(テレビ朝日系)などのバラエティーが激辛料理をフィーチャーし、『バゲット』(日本テレビ系)、『王様のブランチ』(TBS系)、『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)など朝昼の情報番組でも激辛料理を扱うコーナーが目立つ。

 さらに特筆すべきは、激辛料理がテーマの連ドラ『ゲキカラドウ』(テレビ東京系)が現在放送されていること。テレビ東京の『孤独のグルメ』『ワカコ酒』『きのう何食べた?』『忘却のサチコ』などに続くグルメドラマシリーズの一環であり、しかもジャニーズ事務所の桐山照史が主演を務め、激辛料理に挑んでいることにも驚かされる。

 かつて夏限定のコーナーに過ぎなかった激辛を扱った番組が、なぜ冬の今増えているのだろうか。「第4次激辛ブーム」「唐辛子の開発」「タレントの思惑」「コロナ禍」という4つのキーワードから掘り下げていく。

『有吉ゼミ』の大成功で他番組が追随

 最初にピックアックしたいのは、「第4次激辛ブーム」。

 これまで、第1次は湖池屋から「カラムーチョ」が発売され、新語・流行語大賞に「激辛」が選ばれた1980年代中盤、第2次はタイ料理を中心にしたエスニックが流行った1990年代、第3次はハバネロがフィーチャーされるなど辛さのレベルが強烈に上がった2000年代と、激辛ブームは周期的に発生していた。

 そして2019年あたりから現在まで、さらに辛さがエスカレートした第4次ブームが発生中であり、そのブームを採り入れ、成功したのが『有吉ゼミ』の「チャレンジグルメ」だった。

 アイドル、若手芸人、旬の俳優、各界のレジェンドなど多彩な挑戦者がこれまで見たことがなかったようなレベルの超激辛料理に挑むコーナーは高視聴率を連発。業界内に「激辛は数字が取れる」「しかもスポンサー受けのいいファミリー層に見てもらえる」という声が一気に広がっていった。

 もともと激辛料理は、業界内で「絵力が強い」「見ているだけで汗が出そうなシズル感がある」と言われているもの。さらにそれを食べるタレントたちのリアクションもおのずと大きくなり、不自然さを感じさせない。制作サイドにしてみれば、「料理の見た目も、タレントのリアクションも、単純明快かつ刺激的な映像が撮れる」というメリットがある。