「いつも黒のタンクトップとジーパンだから衣装代もかからない。芸能界に対して無知だから扱いやすく、所属タレントも自分ひとりだけで、相談できる仲間もいない。まるで奴隷商売(笑)。自分で言うのもなんだけど、僕じゃなかったらもっと早い段階で大問題になっていたと思いますよ」
事務所を転々とした後、ホスト、探偵、便利屋などさまざまな職業を経験。
「ボロ雑巾になりながら、その都度、自分できれいに修繕して生き延びている」
と笑う。現在は故郷の千葉県八千代市で『SISパーソナルジム』を運営。
「あの騒動で結果的に名前が知れ渡ったことで、パーソナルジムにお客さんが来てくれるケースもある。一夜にして何百万も稼ぐ世界も知ってるし、1日で1万円を稼ぐことの大変さも知っていることは、今とても役に立っていると思います。
芸能界って、やめるやめないが通用する世界じゃない。1度認知されたら、ずっと背負っていかなければいけない。後ろ指をさされながら一般社会で働くのは大変。死にものぐるいでやらないと」
彼の言葉には、とんでもない説得力がある。
最後に、新加勢大周としてデビューしたことを問うと、
「ケースバイケースとしか言いようがないですね。昔は芸能界の道に入ったことを恨んで、自殺も考えました。青木ヶ原樹海まで車を飛ばしたのですが、道に迷って樹海の入り口といわれていた駐車場にたどり着くことができず……。
ぐるぐるしているうちに、“何しに来たんだっけ?”ってバカらしくなって帰ってきましたけど(笑)。今では笑い話になって、パーソナルジムを運営できている。人生は山あり谷あり。いま振り返ると前向きに考えられるかな」
(取材・文/我妻アヅ子)