親の言動でうれしかったことは?
実際、不登校児の取材で“親の言動でうれしかったことは?”と聞くと、最もよく挙がるのが“気持ちを聞いてくれた”だという。
「あと、“ありがとう”の言葉を挙げる子も多いですね。不登校の子は周りに手助けしてもらい、ありがとうと言う立場にいることが多い。だから犬の散歩や洗い物など、些細なことでも感謝されると自分が存在していていいんだとすごくうれしいんです」
不登校は、学校生活で傷つき、疲れ果てた子どもの自己防衛の手段。周囲がそれを受け止め寄り添うことで、長期の不登校や引きこもり、自死という最悪の結末を防ぐことにつながると石井氏は語る。
「大人だって心が疲れたら休むことも必要ですよね。子どもも同じで、疲れたときの最大でいちばんの処方箋は休息。
そもそも1週間休める子ってなかなかいないもの。2〜3日休めば少し落ち着いて、また自分から学校へ行ったりもする。学校がすべてではなく、不登校はいろいろな生き方のひとつ。
そう考えると、親も子も少し心がラクになる。学校で苦しんでいる子どもがいたら、ぜひ休息の機会を与えてあげてほしいと思います」
お話を伺ったのは……石井志昴さん●1982年生まれ。中学2年生から不登校。19歳からnpo法人全国不登校新聞社発行『不登校新聞』のスタッフとなり、2006年から編集長。人生の先輩から不登校の子どもへのメッセージをまとめた『続 学校に行きたくない君へ』(ポプラ社)が話題に。
(取材・文/小野寺悦子)