お金ドリル 退職金・年金編

年金や退職金をあてにするだけでなく、働くことも視野に

「老後のお金というと、貯蓄や年金、退職金などをイメージすると思いますが、確実なのは健康な限り、少しでも長く働くこと。長く働ければそれだけ安心が手に入ります」

 働くことで安定的に収入を確保できるだけでなく、生きがいにもつながる。

コロナ禍で在宅ワークをする人も増えています。自分の得意なことを登録してスマホを使って副業するのも一案。特別な才能が必要なわけではなく、家事能力や趣味がお金になるのも今の時代ならでは。まずは怖がらずに、デジタルに強くなることから始めてみましょう

 そのうえで、すぐに年金をもらわなくてもいい状況なら、年金の受給は少しでも繰り下げたほうが得。長生きすればするほど数百万~1千万円以上の差が出るのだ。

【第5問】50歳で年収500万円。希望退職すると退職金が1000万円上乗せされる。60歳の定年まで勤めるのと50歳で希望退職、60歳までの総収入はどれくらい違う?

(1)約2000万円
(2)約3000万円
(3)約4000万円
(4)約5000万円

(答え)上乗せにつられるとソン!?

 正解は(3)。60歳まで働いたら手にできるのは500万円の10年分、5000万円。希望退職の上乗せはたった1000万円なので、差し引き4000万円をフイにしてしまうことに(※5)。上乗せにつられてすぐ退職してしまうと、後悔することも。定年まで勤めるのが得。

(※5)10年間多く勤続することによる、退職金の上乗せは計算に含まない。500万円×10年=5000万円 5000万円−1000万円=4000万円のダウン。

【第6問】勤続年数30年、退職金は1500万円。退職金は一時金と年金、どちらで受け取るのが得?

(1)年金で受け取ったほうが得 (2)一時金で受け取ったほうが得 (3)どちらも同じ  (4)一時金と年金の半分に分けるのが得

(答え)有利な控除が使える

 税金面から考えれば、一時金で受け取ったほうが得になることが多い。理由は、退職所得控除(※6)が使えるため。手取り金額では分割で受け取ると損になるので、正解は(2)。ただし、退職所得控除よりも多くなったときは、越えた分を年金で受け取ったほうが得に。1度、計算を。

(※6)退職所得控除とは、勤続年数に応じた金額を退職給付金から控除できる制度。控除額が大きいので使ったほうがいい。

【第7問】自営業の場合、50歳から60歳まで国民年金の付加年金保険料(※7)を毎月400円納め、90歳まで生存したとすると、生涯でもらえる年金はいくら増える?

(1)9万6000円
(2)24万円
(3)60万円

(答え)長生きしたら掛けた金額の10倍以上

 付加年金を納めると、納めた月数×200円分、65歳からの基礎年金の年額が増えるため、長生きすればするほど得をすることに。10年分の4万8000円を納めただけでも65歳からの年金(年額)が200円×120か月=2万4000円増え、90歳までに2万4000円×25年=60万円となる。正解は(3)。

(※7)毎月の国民年金の保険料に400円上乗せして納めることで、将来に受給する年金額を増やせる。フリーランスで働く第1号被保険者や、国民年金の任意加入被保険者(65歳以上除く)の方限定の制度。

※写真はイメージです
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【第8問】年金を繰り上げ受給して60歳から受け取る場合と65歳からスタートする場合、90歳時点でどちらのほうが得?(65歳の年金額は180万円とする)

(1)60歳で受け取ったほうが20万円の得
(2)どちらもそれほど変わらない
(3)65歳で受け取ると20万円の得
(4)65歳で受け取ると700万円以上の得

(答え)受給年齢により大きな差が!

 60歳まで繰り上げ受給をすると65歳から受け取る額の30%減額になる(※8)。60歳から90歳までの30年では、総額3780万円(※9)、65歳から90歳までの25年なら、総額は4500万円(※10)で、その差額は720万円にも! 正解は(4)。

(※8)2022年4月より、年4.8%の減額に変わる。60歳で受け取ると24%の減額になる。それでも、400万円近い差が出る。
(※9)126万円×30年=3780万円
(※10)180万円×25年=4500万円