一方、二股を乗り越えて結婚したカップルもいる。宅麻伸と賀来千香子だ。'93年、宅麻と8年前から交際しているという女性が出現。こちらもドラマさながらの展開となった。
その女性は元歌手で、地方局のラジオパーソナリティー。下積み時代の宅麻を支えた、いわば糟糠の恋人だ。にもかかわらず、彼は会見で、
「ぼくの不徳の致すところ。でも、結婚を意識したのは賀来千香子たったひとり」
と、言い切り、翌日に会見した賀来もこれに同調した。「彼をいちばんよく知っているのは私」だとして「“宅麻さんに誠意がなかった”と言われるのは納得できません」と泣きながら訴えたのだ。
そこにはおそらく「自分こそが彼の最愛の存在」だという強烈なプライドが秘められていたのだろう。
ただ、この一件により、'94年に結婚後も「おしどり夫婦」か「仮面夫婦」かという相反するイメージがつきまとうことに。2012年に離婚したときには、あぁやっぱりという声が聞かれた。「終わりよければすべてよし」(シェイクスピア)とはいかなかったわけだ。
スリルも背徳感もひとしおな“不倫”
不倫もまた、広い意味では二股だ。結婚していても、ほかの異性と恋ができる人はいるし、むしろスリルや背徳感といった刺激は独身のときより強く味わえるのだろう。
1997年には、金山一彦と河合美智子の不倫が報じられた。金山は前年、芳本美代子と結婚したばかりだったし、河合は'96年度後期のNHK朝ドラ『ふたりっ子』で大ブレイク中とあって、大いに注目されたが、ふたりはそれぞれ、会見を開いて否定。ただ、金山は「軽率でした」ともコメントした。
このとき、印象的だったのが芳本の対応。直撃取材にやつれた姿で「主人を信じて待っています」と語り、世間の同情を集めた。その後、2年の別居を経て、夫婦はヨリを戻し、子どもも生まれたものの、2013年に離婚。本当の意味での信頼関係は築けなかったのかもしれない。
なお、河合が『ふたりっ子』で演じた「歌手・オーロラ輝子」もヒロインの父親と浮気をする役だった。劇中で歌った『夫婦みち』がヒットして、'97年の「紅白」にも出場。しかし、5年前に脳出血で倒れるなど、苦難にも見舞われている。