一般人の“悪態俳句”を紹介
YouTubeに投稿されてきた一般人の悪態俳句を夏井先生が解説。「俳句をかじっている人だけでなく、初心者がつぶやいたものがホームランになったりするのが面白いんです」――。
(1)煤逃げの夫メルカリにだしたろか
(2)グチグチと聞かされる耳慈善鍋
(3)草餅と余計なお世話頂戴す
(4)ががんぼに変える呪文はありますか
夏井先生解説
(1)“煤逃げ”とは年末の大掃除を逃げ出して遊びに出ることを指す季語です。悪態俳句は、誰に悪態をついているかわからないように詠むのが原則ですが、この句は夫を詠ん
だところに共感が生まれますね。
(2)愚痴を我慢して聞いてあげている私の耳は慈善鍋なんですよ。とってもウイットがあります。誰がそんなに愚痴っているのでしょう。
(3)草餅をありがたく頂戴したときに、そのおばさんは「あなた、なぜ結婚しないの?」とか余計なことを言ったのでしょう。季語の“草餅”に、どういう人に言われたかのヒントがありますね。
(4)頭にきて「ががんぼ(蚊の一種)になってしまえ」と、相手を何回にらんでも呪っても、ががんぼにはなってくれないのよね。読み手にも、ががんぼになれって呪いたい人が浮かんでくる、共感する句です。
みんな“悪態”を抱えているでしょう。17音にまとめてみては!
あなたも投稿! 悪態俳句
YouTube『夏井いつき俳句チャンネル』は、夏井先生と俳人・家藤正人さんの息の合った掛け合いで、俳句初心者でも楽しく俳句の勉強ができると人気になり、会員6万人を突破。ここで『悪態句集』を取りあげたところ、見ている人たちからも悪態俳句が投稿され、「集まった句で本を出そう」ということが決定。あなたも一句詠んでコメント欄に投稿すれば、採用されるかもしれません。
教えてくれたのは……夏井いつきさん●俳人・エッセイスト。愛媛県在住。8年間の中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。平成27年5月初代「俳都松山大使」に就任。MBS『プレバト!!』俳句コーナーほか、出演番組多数。松山市公式俳句サイト「俳句ポスト365」選者。
《取材・文/水口陽子(つきぐみ)》