一緒に飲みに行く豪華な面々

 暗黒の20代を経て、今や映画にドラマと引っ張りだこ。そんな佐藤が今も大事にしていること。それは人とのつながり。

「昔はね、飲みに行ったときくらいは仕事のことを考えたくなくて。飲み屋では、全然違う職業の人たちと飲んでいました。もちろん今も好きですよ? でも、ある時期から山田孝之、小栗旬、向井理、斎藤工とかとよく飲みに行くようになった。みんな30代後半。俺らが考えもしなかったことを彼らは考えていて、自分でプロデュースしたり、映画を撮ったり。ヤツらと話していると刺激をもらえて楽しいんですよね」

 人気俳優同士、どこへ飲みに?

「千歳烏山の『ふぐちん』というお店には、いろんな人たちと飲みに行きました。孝之、小栗、長澤(まさみ)と長澤のお母さん、堤真一、バイきんぐ小峠(英二)、安田顕……みんなバラバラにですけどね。

 そこのおかみさん、小栗だろうがなんだろうが、時間になったら追い出すんです。でも、唯一“あなたがいるならいつまでもお店開けますよ”っていうのが安田顕。堤真一にも向井理にも一切反応しないのにですよ?(笑)。安田、そのお店で一度裸になってるのに。俺はそこだけ、納得いってません!(笑)」

 と、最後は役者仲間で飲み友達でもある安田顕の話で笑わせてくれた。ふと、「人を笑わせるのが好きですか?」と聞いてみると、“そんなこともないけどねぇ。でも楽しいのはいいよね”と佐藤。

 今回の映画では〈人はなぜ笑うのか〉という問いが投げかけられる。劇中では「試しに笑え、無理でも笑え」という印象的なセリフが出てくるが、最後にはこんなエピソードを。

「実は僕の母親が“ケセラセラ、明日は明日の風が吹くぞ二朗”とよく言ってて、口癖だったんです。それを思って書きました。うちの母親、いろんなことがあってすごい苦労をしているんです。映画では、負を抱えた状態で試しに無理でも笑ってみなさいと。ほんのちょっと、1ミクロンかもしれないけど、気が楽になるかもしれないよ? という意味で取り入れました。

 ほかの取材で孝之がこの映画について“見ておいたほうがいい作品”と言ってくれましたが、その言葉に尽きます。1人でも多くの人に、届けたいと思います」