困ったことが起きたときに、考え方を転換するのが自分の特技であると気づいたのは最近だ。
「舞台作りで険悪な雰囲気になったときにも、場の雰囲気を明るくするのが私の役目。この前も女優仲間の東ちづるちゃんから『あのときは真実に助けられた』と言われたほどです。
この、みんなのマイナスをプラスにすることは、私の特技なんだと気づいたのは還暦を過ぎてからですね。むしろ、こういった役割を嫌がったり、気まずい場面になることを避けたりするほうが普通だったんですね(笑)。
何かがあったとき、落ち込むのも、明るくいくのも人それぞれ。私は、自分のコンセントを、周りのみんなが明るくなりそうなほうのプラグに差し込もうという考え方で、生きてきました。
とはいえ、どのプラグに差し込もうと決めるまでには、それなりに葛藤があります。私のそんな奥底の感情を、描き出してくれるのは田村さんしかいないと思ったんです」
妻でも愛人でも女性は苦労する
一方で、女性たちの苦労する姿を幼いころから見てきて、中学生のときから妻になるのがいいか、愛人になるのがいいかを考えるようになったという。
「周りを見ていて、妻になっても、愛人になっても苦労する、女性は大変だと幼いころに悟ってしまいました。昔は女性が自立するのは大変で、生きていくためには妻か愛人になるしか方法はありませんでした。
そして、妻か愛人かを選ぶとしたら、自分はどうするだろうと考え、私は妻になろうと決めたんです。それは、子どもができたら私のように母の味方をしてくれるから。結局、私は2度離婚して(笑)、子どももいませんが、それも自分の選択の結果。でも、不倫は絶対しないと決めています。好きな人が結婚していたらあきらめますよ」
古今東西の老若男女は、舞台をはじめ芸術を通じて、叶わない部分を満たしてきたといえる。