婚活を難しくしているのは、どんな人たちでしょうか。それは、自分が決めたこだわりがありすぎるタイプ。側から見たら“そんなの、ど〜でもいいことなのに”と思うのですが、ご本人たちは、そこに頑なのです。仲人をしながら、婚活現場に関わる筆者が目の当たりにした婚活事情を、さまざまなテーマ別に考える連載。今回は、「そのこだわりは、婚活に必要ですか?」を見ていきましょう。
年収によって、リモートか対面かにお見合いを振り分ける
晴恵さん(45歳、仮名)は、美人で若々しく、誰もが知る有名企業に勤めていました。年収も900万円というバリキャリです。大学を卒業してすぐに結婚をし、男の子を出産。子どもが中学生のときに離婚したのですが、彼が社会人として独立をしたのを契機に、再婚を決意しました。
「コロナで会社がリモートワークになったり、人の動きが制限されるようになったりして、1人の時間が増えたら、このまま歳を重ねていくことが、とても不安になりました」
入会面談のときに、こう言っていました。そして、婚活をスタートさせましたが、お申し込みがくるのは、50代後半の男性ばかりでした。しかも、年収は彼女の半分以下の方がほとんど。
「これではお見合いを受けたい人が、1人もいません」
そして、ご自身でもお申し込みをかけるようになりました。ところが晴恵さんが申し込むのは、40代の男性で年収がご自身と同じくらいか、それ以上の方。年収が自分よりも低い場合は、年下限定。当然のごとく、お見合いが承諾されることはありませんでした。
そんな中で、2つ上で見た目も素敵な年収600万円の男性から、お申し込みが来ました。
「この方は、お見合いしてみようかしら」
気持ちが前に動いたようですが、お見合いは、「リモートでやりたい」と譲りません。その理由がこうでした。
「年収が800万円以上あるなら、私が交通費や時間を使って会いに行ってもいいのですが、600万円男性の場合、まずはリモートでやって、どんな方が判断したいです。よっぽど話が合わない限り、お付き合いはしないと思うので」
リモートにしたい理由を、そのままお相手の相談室に伝えられなかったので、“時節柄、お見合いはリモートでいかがでしょうか?”と打診しました。そして、リモートお見合いが行われたのですが、終えた直後に男性からは、お断りが来ました。
その返事を伝えようとしていたときに、彼女から連絡が入りました。
「お見合いの結果ですけど……」と言ってきたので、「それが先方から、ご縁はなかった連絡が今入ってきましたよ」と私が答えると、彼女は、憤りを隠せない強い口調で言いました。
「そうですか! 私もお断りでした。話も膨らまなかったですし、私から先に断りを出せばよかったわ」
お見合いをするときの条件として男性の年収を、“自分よりも高ければ対面。低い人はリモート”とルールづけしていたら、たとえそれを相手に直接伝えていなくても、その傲慢さは会話の端々に出ていたはずです。
この調子で婚活を続けていたら、うまくいくはずがありません。結局彼女は、5か月で相談所を辞めていきました。