甘味やうまみを強調する「塩の対比効果」
Q スイカに塩をかけるとどうしておいしく感じるの?
A 塩のしょっぱさがスイカの甘さを強調させるからです。
スイカのおいしい季節だが塩をかけるとよりおいしく感じるのはなぜなのか。日本味覚協会の水野考貴代表に話を聞いた。
「おいしくなったように感じるのは、少量の塩のしょっぱさがスイカの甘さをより強く感じさせるためです。これは弱い味が加わったときに強い味がより一層強められる『味の対比効果』が働いた結果です」
例えば、トマトの甘味を強調する有塩トマトジュースや、肉のうまみを強調する焼き肉と塩の組み合わせなども同じ原理とのこと。
「対比効果というのは、甘味やうまみが塩味によって強調されるのですが、甘味やうまみと違い、塩味は基本的に塩だけなので、味の対比効果は『塩の効果』といえるかもしれません」(水野さん)
また、スイカと塩の組み合わせは夏バテ対策でも大活躍だ。塩分が加わると、糖分や水分が効率的に吸収されるようになるので、塩のかかったスイカは天然のスポーツドリンクとでもいうものになる。夏場に汗をかいて水分と塩分を失った身体にはまさにうってつけだ。
ではいつも塩をかけたほうがいいのかというと、そうともいいきれない。
スイカに塩をかけるとたしかに甘く感じるようになるが、もともと十分甘いスイカでは塩をかけると甘くなりすぎておいしさのバランスが崩れてしまう可能性がある。
近ごろのスイカは甘いものも多いので、甘い中心部分はそのまま、甘くない皮のほうにだけ塩をかけて食べる、と使い分けるのが正解だ。