また、副作用など情報の一部を切り取り、医者に処方された薬を勝手にやめたりすれば、命に関わる場合もあり危険だ。診断や治療方針を決めるのは、あくまで専門家である医者だということを認識しておこう。
「自分なりに取捨選択した情報を医者に伝えることは悪いことではありません。医者も患者さんが得た情報を共有したいと思っているからです。しかし、言い方を間違えると医者は自分が信用されていないと感じて傷ついてしまうことも。
調べたことを話す場合は『素人なりの意見ですが』という前置きをつけ、あくまで自分の考えとして伝えるといいと思います」
謝礼は渡しちゃダメ!
ひと昔前までは、お世話になった医者に謝礼を渡す患者も少なからずいた。しかし、今の時代に謝礼を渡そうとすると、かえってマイナスの感情を持たれかねないという。
「患者が医者個人に謝礼を渡す行為は、純粋なお礼というより、特別に贔屓してほしいという意図を感じさせます。
医療者は、公平・公正にサービスを行うという倫理観に基づいて行動しているため、自分勝手な患者というネガティブな印象を持たれかねません。どうしても感謝の気持ちをお金で表したい場合は、病院に寄付をして医者に報告するのが賢明だと思います」
代替医療は担当医に相談を
私たちが病院で受けるのは主に西洋医学に基づいた医療だが、世の中にはそれ以外にも、漢方薬や鍼灸、カイロプラクティックといった代替療法が数多くある。そういったものを試したいときは担当医にどう言うべきか。
例えば、ひざの痛みやしびれに悩まされて病院の整形外科で理学療法を受けているが、症状が思うようによくならない場合。興味を持っているカイロプラクティックを試したいと思ったら、担当医には感情を刺激しないように伝えるのがポイントだという。西洋医学の医者のなかには代替療法は科学的根拠が薄いと否定的な目で見る人も少なくないからだ。
「1つ目のポイントは、事後報告ではなく、事前に相談することです。さらに、あくまで現在の治療が主で、カイロプラクティックは試しに一度受けてみたい、結果は先生にもご報告します、といった具合に話すと、医者との関係を良好に保ったまま、代替療法の力も活用できると思います」
医者は限られた時間と条件のなかでベストを目指している。これらの心得を参考に、医者を困らせず、最善の治療を受けて元気に長生きしたいものだ。
(取材・文/井上真規子)