“ねじれ”はゆるめられる

 ねじれ腸・落下腸による便秘の放置はさまざまな不調を招く。

「排出されない便やガスが大腸にたまると、膨満感やお腹に痛みを覚えます。落下腸の人は下がった腸によって下腹がポッコリと出るのも特徴です。最悪の場合、ねじれ部分に便が詰まって腸の通り道を完全にふさぎ“腸閉塞”(糞石イレウス)を発症するケースもあります。腸閉塞は、のたうち回るほどの胃痛や腹痛を感じたり、放っておくと命に関わることも。一刻も早く医療機関で治療を受ける必要があります」

 便秘が重篤な病につながる可能性もあるのだ。ただし「すべてのねじれ腸の人が便秘になるわけではない」と、水上先生。

「実は、腸がねじれていても、日ごろからゴルフやラジオ体操など“身体をひねる運動”をしている人は便秘になりにくいことがわかっています。たとえ腸の形が悪くても、運動不足でなければ便秘になりにくいんです」

 水上先生もねじれ腸の便秘に苦しんでいたが、ラジオ体操を毎日行うようになってからは快適に過ごしている。

「身体をひねると腸がゆれて“ねじれ”がゆるくなり、便がスムーズに通りやすくなります。ただ、落下腸はひねりの運動だけでは効果が薄いので、腸を押し上げるマッサージも同時に行ってください」

 そのほか、食物繊維を1日20gを目安にとったり、1日に1・5リットルの水を飲んだりといった対策も。

「排便前にお腹が痛む便秘は“生活習慣を見直してほしい”という身体からのサイン。生活習慣の改善が便秘を治して身体を健康に保つコツ。無理なく続けられる方法で、便秘の解消にトライを。ただし、便秘に大腸がんが隠れていることもあるので、大腸がん検診も受けましょう」

 便秘の人は、そうでない人に比べて生存率が低いという調査結果もある。たかが便秘と甘く見ず、できることから取り組もう。

正常な腸
 ねじれ腸に比べて腸の長さが短い。大腸が小腸のまわりをぐるりと取り囲んでいる。ねじれが少ないので便がスムーズに通過する。

ねじれ腸
 正常な腸と比べて曲がりが多く、腸のねじれで腸が分断して見える部分もある。硬い便はねじれた部分を通過できず、便がたまりやすい。排便時に腹痛が起きるのも特徴。

落下腸
 あばら骨あたりでお腹を横切っているはずの大腸が骨盤内にすべて落ち込んで、複雑に折り重なっている。ねじれ腸と違って腸の長さは長くない。