外側は本物だけど……

 出てきた話は驚くべき内容。「買い取った化粧品や香水は99%個人売買サイトへ出品する。中身はどうでもいい。入れ替えるので」というのだ。

 買い取った香水の中身は捨ててしまうので、どれくらい残ってるかや開封時期はたいした問題ではない。大切なのは、外見が「どれくらいキレイで新しく見えるか」

 フレグランス・香水なら大事なのは中身だろう、という常識は通じない。

 本物を捨ててしまった後に、同じような香りのずっと安価なものに入れ換え、限りなく未使用品に近いおトク商品として販売するからだ。

中身を詰め替えたうえで“未使用品”として安価で販売されているケースも ※画像はイメージです
中身を詰め替えたうえで“未使用品”として安価で販売されているケースも ※画像はイメージです
【グラフ】フリマアプリなどの使用者は5割以上/購入理由上位は「試し買い」【@コスメ調査】

 実は、香水の成分などはもはや秘密でも何でもない。

 比較的たやすい分析で明らかになるから、同じようなものを作るのはそれほど難しくない。しかも、その背景にはそれを単純に偽物だと決めつけられない事情もあるという。

「コンビニなんかのプライベートブランドと変わらないよ」

 中古コスメ買い取り氏はそんな風にうそぶく。

「大手メーカーの商品と同じものが別のブランドで、ちょっとばかり安い値段が付いてるよね。その分、品物が良くないのかといえばそんなことはない。

 当たり前だよ、だって同じ工場で作られているんだから。パッケージとブランドのロゴを替えただけで、中身はまったく同じでしょ? 香水だって、化粧品だっていっしょよ」

 結局、中古買い取り業者は、ネットでかき集めた香水で「セドリ」をしているのだという。これはもともと古本業界の隠語で「掘り出し物を転売して利ざやを稼ぐ」ことだ。

 フリマサイトに個人アカウントで登録して中古の商品販売をするのには、いくつかのメリットがある。

 まず、第一に個人間売買で商品価格が30万円以下なら非課税、つまり税金がかからない。また、コスメなどの偽ブランド品の流通には、メーカーが厳しいチェック体制を敷いているというのがほとんどだ。