2月20日、閉会式が行われ、北京五輪が幕を閉じた。
「同日、フィギュアスケートのエキシビションも行われ、出場選手には、アメリカのネイサン・チェン選手、鍵山優真選手、宇野昌磨選手などのメダリストと、羽生結弦選手や、個人戦をコロナ陽性で欠場することとなってしまったアメリカのヴィンセント・ジョウ選手などが国際スケート連盟によって選ばれました」(スポーツ紙記者)
エキシビションに向けて、羽生は準備に余念がなかった。
「個人戦を終えた4日後の2月14日には練習を再開させています。その後も何度か練習を行い、これまでの羽生選手のスケート人生を振り返るかのように、歴代のプログラムを披露し、調整していました」(同・スポーツ紙記者)
それでも、不安がつきまとう。2月14日に行われた会見で、試合前日の練習での右足のケガについてこう口にしたのだ。
「先日の練習で足を痛めて、4回転半で思いっきり片足で降りにいって、そのときに捻挫しました。その捻挫の程度も思ったよりもひどくて、本来だったら、普通の試合なら完全に棄権していただろうなと思いますし、今もちょっと安静にしていないと本当はいけない期間で、ドクターの方から“もう10日は安静にしてね”と言われているんですけど、それくらい悪くて」
こうした発言や、演技後に見せた刀を収めるしぐさなどから、一部メディアでは引退説も取り沙汰されるほど。
4回転半をやり切る決意
しかし、羽生が通っていた東北高校フィギュアスケート部顧問の佐々木遵先生の目には、今も羽生の闘志は燃えているように映ったという。
「まだ引退はしないと思っています。4回転半の成功まで、あと本当にもう少しですから。その“あと少し”が大変なんだと思いますが、足が限界でなければ、4回転半をやりきるんじゃないかなと思っています。会見での羽生くんの姿を見て、“そんなに簡単に俺は諦めないぞ”と言っているように感じました」
では、右足のケガの状態はどうなのか。スポーツ関連の負傷に詳しい久我山整形外科ペインクリニックの佐々木政幸院長に聞いた。
「足首は、外側のくるぶしから大きく3つ靱帯が出ていて、捻挫というのは、簡単に言うと、この靱帯の傷です。治すには2~3週間は動かさず、安静にすることがいちばんです。羽生選手は10日間の安静ですから、かなりひどい状態というわけではないと思います」