警察は4回も璃愛來ちゃんを保護
日渡容疑者と母親は、2019年春ごろに交際をスタート。17歳で璃愛來ちゃんを出産した母親は当時21歳。遊びたい年ごろで付き合い始めたばかりの恋人とは蜜月期。関心は娘よりも恋人である日渡容疑者に向いていたのだろうか。
璃愛來ちゃんが保護されたり、虐待を疑う通報があったのもこのころからだった。
冒頭のスタッフは、違和感を覚えることがあった、と振り返る。
「今年2月にもう1回、雨の日に裸足で、璃愛來ちゃんが駐車場で“ママ”と泣いていたんです」
肌着の上に薄いワンピース、パンツははいていなかった。璃愛來ちゃんは3月にも同じ駐車場で保護されている。
特別、やせている感じはなかったというが、クラブの関係者たちはネグレクト(育児放棄)を疑っていた。
「3回とも迎えに来た母親に心配する様子はまったくなく、“ありがとう”も“すみません”もありませんでした」(前出・クラブのスタッフ)
本当に子どもを可愛がっているのか、心配しているのか疑いをもたれても致し方ない母親の態度。
同クラブの看護師は3度目に璃愛來ちゃんを保護した際、身体のチェックをしたという。
「アザなどはなく、健康な状態だったのでホッとしました。1時間ほどしてお母さんが迎えに来ました。ドアのところから“璃愛來!”と声をかけると、璃愛來ちゃんはニコっと笑ってから椅子から立ち上がってお母さんに駆け寄ってハグをしたんです」
でも、と看護師はその際の母親の表情を忘れていない。
「お母さんの表情は無表情でした。茶髪で今どきの若い子って感じで、“ひとりにするのは危ない、1度目じゃないよね”と言うと、“ハイ”とうなだれて、“すみませんでした”と小声で言いました」
母親の、ネグレクトを思わせる無責任な子育てを、周囲は見逃さなかった。
前出のスポーツクラブだけでなく同年3月末に夜、ひとりで出歩く璃愛來ちゃんを近所の人が発見、薩摩川内署が保護した。同署は4月までの間に4度保護。県はネグレクトの虐待認定をしていた。
通報を恐れたのか、同時期に早朝、同クラブの駐車場に車を止め、運転席に母親、後部座席で璃愛來ちゃんが眠るのを前出・クラブの看護師は目撃していた。さらに母親の外見の変化も記憶していた。
「髪が金髪になって以前よりも派手な雰囲気になっていました。5月にはお母さんが大きなビニール袋に洋服を詰めて車と自宅を往復しているのを見ましたよ。娘さんは後ろをついてちょこちょこ歩いてました。お引っ越しかな、と思いました」(前出・看護師)
母親は6月12日から18日にかけて、「引っ越しの準備のため」と同市のショートステイに璃愛來ちゃんを預けている。本当に引っ越しの準備をしていたのかは定かではない。
7月前後には事件現場になった出水市の2DKのアパートで、3人で暮らして始めた。