カルテに書かれる酷い隠語
「回数券問題ですね。“回数券を売るためだけに教育されたスタッフ”がいる治療院もあるんですよ! 回数券は利用期日が小さ~く書いてあるけど、おじいちゃんやおばあちゃんは老眼で見えずに、期日を過ぎてしまう。また、使おうとしても期日までになかなか予約が取れずに失効してしまうケースもあります」
実は法律上、購入を解約したくても、しづらくなっているのだ。
東京都消費生活総合センターによれば“自ら出向いて契約した場合”の施術はクーリング・オフ制度が適用されない。また治療院側が「解約できない」と言えば、お金を諦めざるをえない。まったくの無法地帯だ。接骨院には法的な規制があるが、整体院にはないのだ。
「よく繁華街で“あなたも3日で整体師”や“4日間でカイロプラクター資格取得”といった広告を見ます。整体師もカイロプラクターも法的な資格はないのです」
接骨院(整骨院)は、国家資格を持った柔道整復師がいるので、法的規制もあり保険適用にもなる。はり師、きゅう師も同じく国家資格だ。接骨院であればあくどい手口はないようだが、回数券の購入には注意が必要だ。
「治療院のカルテの右上、名前の横などに数字が書いてあれば、“〇人目の患者”という意味。では“500UB”と記号がついていたら何だと思います? 答えは“500番目に来たうるさいババア”です。いろんな病院に勤めていた経験から言いますが、UBならうるさいババア、UGならうるさいジジイという暗号は、ほとんどの病院が使っています。業界の裏常識だと思います……嫌な話です」
またPと書いてあれば、“頭がパ●”、Bなら“バ●”の意味だそう。
「カルテがドイツ語なのは、患者に内容を知らせないようにするため。それと同じで、患者の目の前でスタッフたちに“この人はパ●だ”“バ●だ”なんて言えないけれど、PやBなら本人を目の前に悪態をつき放題なんです」
PやBに加えて三重丸や花丸が書かれたカルテにはそのときの書き手の感情が反映されることも多いという。
「カルテ一面の赤い花丸で怒りを表現したものも見たことがありますよ。例えば“自分の施術に懐疑的だった”くらいで怒って、そんなことをする施術者もいました」
「T」は水虫患者を指す。
「“だからこの患者の施術後は手を洗いなさい”という、まじめな記号もありますが、ほとんどは患者さんに絶対悟られてはならない隠語です」
もし自分のカルテの右上に謎の記号があったら、それは何か尋ねよう。
「もし相手が動揺したなら悪い意味だと思います。治療に行って、そういうことをされたら悲しいじゃないですか」