「義理の親の介護」をしたら財産をもらえる!
義理の親の介護は、精神的にも体力的にも大きな負担を伴う。にもかかわらず、その義理の親が亡くなっても介護をしていた嫁は財産を1円も相続できない。
ところが2019年にできた「特別寄与料」という制度によって、義理の親を必死に介護してきた対価を請求できるようになった。
これが認められると、遺産を引き継ぐ息子や娘などからお金を支払ってもらえる。金額は話し合いで決まるが、まとまらないときは家庭裁判所での判断となる。
ただ、この特別寄与料はほかに何も打つ手がないときに嫁ができる最後の手段と考えたほうがいいかもしれない。というのも、一般的に想定できる以上の介護を、最低1年以上していなければ特別寄与料は認められないからだ。
食事の世話や病院の送り迎えなどをしていただけでは、1円も支払ってもらえない。そのため、義理の親が介護状態ではあるけれどまだ認知症ではないなら、ほかの方法も検討するのがおすすめだ。
例えば、「介護してくれた〇〇(嫁の名前)に財産の3割を相続させる」などのように書かれた遺言書を残してもらうとか、「〇〇万円を渡すかわりに死ぬまで介護を続ける」といった契約を書面で交わすのも選択肢のひとつだ。
また、契約者を義理の親、受け取り人を自分にして生命保険に加入してもらう方法も。生命保険の保険金は受け取り人のものになるため、ほかの相続人にとられる心配はない。
いずれにしても、義理の親が元気なうちに対策をするのが、嫁が割を食わずにすむポイントだ。
【これまで】どれだけ献身的に介護をしても、嫁は一切の遺産を受け取ることができない。
【これから】今後は義理の親を介護すると、条件によっては特別寄与料をもらえることに。
「嫁への生前贈与」ができるうちに
遺産が少なければ相続税は安くなる。そのため、多くの人が生前に息子や嫁に財産を贈与して遺産を少なくしようとしてきた。
1年間で110万円以内の贈与なら贈与税がかからないので(「暦年贈与」という相続税対策)、毎年少しずつ渡すのがこれまでの常套手段だったが、この生前贈与を使った税金対策が近いうちにできなくなる可能性が高い。
現在でも亡くなる前の3年以内にもらった財産は、相続税の対象になりうるが、それが今後は亡くなる前の10年間や15年間にもらった財産も対象になる可能性が。
生前贈与した財産にも、相続税がかかりやすくなってしまうのだ。
早ければ、2023年の4月に何らかの改正があるとみられている。税金を余分に持っていかれないためにも、生前贈与を考えているならすぐに行動に移したい。