親のXデーの準備できていますか?
親の身の回りについて、どんな心構えや備えが必要? 最悪の事態の前に確認を!
・見守りサービスを利用する
・親の家の近くの地域包括支援センターを調べる
・実家が空いたらどうするか考える
・通帳などの保管場所を共有する
・不用品の片づけを促す、手伝う
・こまめに連絡をとり健康状態や言動をチェックする
・ペットがいれば引き取り先を考える元気な姿を記録する
「生きているうちにやっておきたかった」4つの備え
如月さんが自身の経験で痛感したという「生前の備え」を教えてもらった
持ち物 片づけのサポート
加齢によって体力や判断力が低下するため、片づけどころか日々のゴミ出しも困難になり、不用品がため込まれてしまうケースも多い。「父の場合は、古新聞や牛乳パックなどの資源ゴミを捨てにいくことができず、家に大量に残されていました」。子どもが「手伝うよ」と言葉がけをして、家の片づけを少しずつ進めよう。自治体によっては、電話で大型のゴミを玄関先まで取りに来てくれるサービスもあるので、上手に利用したい。
家 空き家をどうするか情報収集
親の家が空き家になったら、どんな制度が利用できるのか調べておく。例えば、ひとり暮らしの親が亡くなって、空き家となった家を処分するときに使える特例措置。これを使うと、譲渡益から3000万円が特別控除される。「適用には条件があるので注意。空き家になってから一度でも人に家を貸すと適用されなくなってしまいます。適用期限があり内容が改正されることもあるので、常に最新の情報を入手して」
心 死後の支えになる思い出づくり
親の死による後悔や悲しみから立ち直ろうとするとき、人には「救い」が必要だ。そのひとつが、親の思い出だと如月さんは言う。「元気なときの姿を動画にとっておけばよかったと悔やみました。動いている姿をまた見たくても、記憶の中でしか再現できずつらかった」。写真も思い出の1つだが、ぬくもりや息づかいも感じられる動画は、心を慰める力が大きい。親とのお出かけや食事風景などをスマホで録画したり、ビデオ通話を録画しておくのもいい。
財産 通帳類の保管場所確認
親の預金通帳や印鑑、保険証券などの保管場所は、親に聞きにくい情報。しかし、万が一のときに家中探し回るのは大変な労力がいる。「私の本(『父がひとりで死んでいた』)を読んだ親世代の方から、この本をきっかけに保管場所を子どもに伝えたとコメントをもらいました。親のほうもきっかけがないと言い出しにくい」。コロナ禍の今なら「いつ何があるかわからないから、念のために教えておいて」と頼めば、親も受け入れやすい。
教えてくれたのは如月サラさん
エディター、エッセイスト。大学卒業後、出版社にて女性誌の編集者として勤務。50歳で退職し大学院修士課程に入学。中年期女性のアイデンティティーについて研究しながら執筆活動を開始。著書『父がひとりで死んでいた』に自らの経験をつづる。
取材・文/松澤ゆかり 撮影/鈴木智哉(如月さん) 写真提供/如月さん(イメージを除く)