多種多様な質問に、寄り添って対応

 カスタマーサポートに寄せられる問い合わせ内容は驚くほど多岐にわたる。商品やブランドに関する質問はもちろん、商品の感想、CMに登場する俳優のファッション小物についての質問、さらには小中学生から自由研究の相談が届くこともあるという。

「弊社には日常のスキンケアのご相談や、サプリメントの飲み合わせについての問い合わせなども多いです。適切なご案内ができるよう、化粧品にまつわる美容相談と、健康食品にまつわるサプリメント相談の窓口はそれぞれ一般窓口とは別に設けています」(ファンケル・大泉さん)

 日々多くの問い合わせを受けるなか、ときには返答に工夫を凝らした質問も。

ペットボトルのラベルの剥がし方についてご相談をいただいたことがあります。ボトルの形状によって剥がしやすい方向があり、ラベルのミシン目に沿って下から剥がす矢印がある商品だったのですが、“私はどうしても上から剥がしたい派なので、矢印とは逆から剥がしてもいいか”という内容でした。もちろんお客様の自由なのですが、無理に剥がすと爪を痛めたりするおそれもあります。

 やりとりの末、ペットボトルを逆さに持てば剥がしやすい方向で剥がせて、お客様の上から剥がしたいというこだわりにも沿うのでは……という解決策が生まれました(笑)。まるでとんちのようですが、お客様と一緒に悩み、考えて解決できた印象深い質問ですね」(キリン・渡辺さん)

 従来のようにユーザーからの問い合わせを待つだけでなく、SNSなどで自社製品に対する声を拾い、企業側から積極的に回答や窓口を案内する“アクティブサポート”も一般的になりつつある。

「企業に対して直接意見を送るという行動を起こす消費者は10人に1人ともいわれていますが、そういった積極的なお客様のご意見しか知ることができないのはアンバランスでもあります。

 直接弊社に寄せられる声以外にも、ツイッターなどのSNSやウェブの口コミサイトなどをこまめにチェックし、お困りの方に適切な回答をお届けすることは大切だと思っています」(ファンケル・大泉さん)