調味料や加工食品にもほぼ入っている

 果糖の摂取が多いほど、大腸がんだけでなく、すい臓がんや肺がん、血液のがんの罹患率が高まる可能性を指摘する研究結果もある。

 また、以前から果糖の健康リスクは問題視されてきたが、代表的なのは中性脂肪を増やす点だ。

大腸がんのリスク増、果糖を含む食品例
大腸がんのリスク増、果糖を含む食品例
【グラフ】果糖で中性脂肪はこれだけ増える!

 果糖とブドウ糖は同じ砂糖の成分だが、両者には決定的な違いがある。ブドウ糖は全身でエネルギー源として消費される一方、果糖は肝臓に取り込まれ、その一部が中性脂肪に変わるのだ。中性脂肪が増えれば、肥満や動脈硬化などのリスクが高まる。

 また、果糖は痛風などにつながる尿酸値の悪化も招くので、がんだけでなく、全身の健康を考えても避けるべきなのだ。

 できるだけ身体に取り入れたくない果糖だが、仲川医師は「清涼飲料水だけでなく、スナック菓子類やケチャップ、そうめんのつゆなど、調味料や加工食品にはほぼ果糖が入っています。とても身近なので、入っていないものを探すほうが難しいくらいです」と指摘する。

 果糖は結晶化しにくいため舌触りに影響が出ず、また、砂糖よりもカロリーが低くて安く製造できるといったメリットもあり、多くの食品で使われるようになった。

 では私たちは果糖とどう向き合えばいいのか。仲川医師は「果糖を完全に避けるのは難しくても、とりすぎないコツはある」と言う。

 1つ目は、商品の原材料表示を見て、果糖の含有量の低いものを選ぶこと。

 食品に含まれる果糖は、「高果糖液糖」、「果糖ぶどう糖液糖」、「ぶどう糖果糖液糖」という3つの名前で原材料表示に記されている。それらの違いは果糖を含む割合で、もっとも果糖が多いのが「高果糖液糖」、次が「果糖ぶどう糖液糖」、いちばん果糖の割合が少ないのが「ぶどう糖果糖液糖」だ。

 3つとも書かれていないのがベストだが、書かれていたとしても、なるべく果糖が少ない「ぶどう糖果糖液糖」が使われているものを選びたい。

 2つ目のコツは、ゆっくりと時間をかけて摂取すること。

「特に果糖が多く含まれる清涼飲料水は、液体のため体内への吸収もよく、大量の果糖が一気に身体に入ると中性脂肪の分解が遅くなり、健康リスクがより高まります。1本を数回に分けるなど、少しずつ飲むようにしてください」

 健康にいいからと朝食に決まってフルーツを食べる人もいるが、フルーツにも果糖は入っている。特にバナナ、ナシ、マンゴー、スイカ、リンゴ、ブドウなどには果糖が多く含まれている。

 フルーツには食物繊維など身体にいい成分が含まれていて、吸収するのに時間もかかる。そのため、よほど食べすぎなければ問題ないが、ブドウ糖より果糖のほうが血糖値を上げないから健康にいいと誤解して、あえて果糖の多いものばかりを毎朝食べると過剰摂取につながるおそれが。一度に多くのフルーツがとれるスムージーも要注意だ。

 健康に気をつけているつもりが、健康リスクを上げていたのでは本末転倒。自分の食生活の果糖依存度をチェックしてみてはどうだろう。

果糖を含む食品
・スポーツドリンク
・ビタミンなどの
・栄養補給ドリンク
・コーラ、ジュース
・スナック菓子
・インスタントカレー
・ケチャップ
・ソース
・ドレッシング
・漬物加工品
・ドライフルーツ

女性のがん死亡者数
1位 大腸がん
2位 肺がん
3位 すい臓がん


お話を伺ったのは
仲川孝彦医師
滋賀医科大学生化学講座再生修復医学部門客員教授。日本内科学会総合内科専門医・認定医。日本腎臓学会腎臓専門医・指導医。果糖と健康に関する研究に長年取り組んでいる。

(取材・文/木村彩)